GW (3) | kitotan~音の細道

kitotan~音の細道

~耳を澄ませば音の細道~
徒然にモノ書き&ピアノ弾き


(前回からつづく)

こうして東京の一日愉しく終えたが
旅というのは一旦始めると癖になる

その1週間後今度は打って変わって
休日午前のクラシックコンサートだ

「0歳からの」と銘打っているから
親も安心の泣き声フリーコンサート

最近はずいぶんこの種が増えていて
これもやはり子育て支援なのだろう

子供の体験そして親の息抜きにもな
るそんな場が増えるのはいいことだ

ということではて実際どんなものか
ここは親ではないが一緒に紛れ込む




場所は有楽町国際フォーラム、駅の
すぐ目の前というのが何より有難い   

ここは都庁が30年前に新宿副都心に
移転する前まであったその跡地だが

場所が便利なのもあるがやはり時期
をGWにぶつけたのもあるのだろう

大小5つのホールをすべて使いきっ
てのこの音楽祭は物凄い人出だった

先に席に着いて待っていると五千の
席が埋まるなか孫たちがやって来た

さすがに先週の化粧まわしとは打っ
て変わってそれなりに正装している

この日はブラームスやドボルザーク
など中欧の民族舞踊がテーマだった

ただホールはやはりそのオケの音を
越える赤ちゃんの泣き声に包まれた 

それでも席でリズムに合わせ体を揺
すって身振り手振りを愉しむ子も…

踊りが好きな4歳の上の孫もキャッ
キャと喜んでは音楽に合わせていた 

子供達がいつまでもこの笑顔でいら
れる平和な世であってほしいものだ




…………………………………………

それにしても相撲からクラシックコ
ンサートまでなんともまあ幅が広い

こうしたイベントがあちこちで催さ
れるのだから東京の子供は羨ましい

そう考えるとせっかくこんな恵まれ
た環境にいるのだからこの孫たちも    

せいぜい今のうちにたくさんいろん
な体験をしておいたほうがいいよな

とそんなことを思えるのもどうやら
自分がそうではなかったかららしい
 
振り返ると自分の育った田舎ではそ
うした機会などまったく皆無だった

せいぜい漫画でそれを知るくらいで
逆にそれゆえに東京には強く憧れた

もし自分が東京生まれだったら音楽
ももっと道は違ってたかもしれない

毎月東京へ習いに通う話もあったが
やはりそこまで家は裕福でなかった

…………………………………………

じゃ生まれ育ったところが全然ダメ
だったかというとそんなことはない

そのぶん逆に蝶を追って野山を駆け
まわったり牛に追われたりもできた

農家や漁師の同級生もいたから土の
匂いも海の匂いも知ることができた

そこでなにかしら東京では決して得
られないものを身に着けた気がする

互いに隣の芝生は良く見えるで環境
というのはそれぞれ一長一短がある

なのでどれが良くどれが悪いといっ
たそんな単純な二択の問題でもなく

ただ両方それぞれがあるというだけ
のことでそれほど世界は多様なのだ

そしてその違いというものは両方を
経験してみて初めて肌で実感できる

それでやっとその両方を二項対立と
してではなくそこにあるものとして

当たり前に両方を繋げられそうなそ
んな感覚を身につけることができる

だとすれば少なくともその両方があ
るということを知ることについては
 
もしできるものならなるべく早けれ
ば早いに越したことはないのだろう

あれ?そうか、ならいずれこの子達
も北海道の広々とした世界に連れて…

行動をともにしながら気づけばふと
そんなことも巡るこのGWであった