ドラマ終盤は号泣続き。『龍王〈ヨンワン〉様のご加護』② | コワれるまで ALLORA

ドラマ終盤は号泣続き。『龍王〈ヨンワン〉様のご加護』②


『龍王〈ヨンワン〉様のご加護』 (原題:龍王様 
(ヨンワンニム)
保佑
(ポウ)
下賜
(ハサ)
 2019年)、第2項です。

本作は “現代版 沈清伝” だ( シムチョンジョン )という謳い文句で、昔話に登場する盲目の父と孝行娘、というテイストを盛り込んでいます。

そのまんま、父親の名は沈鶴圭、( シム・ハッキュ)娘の名が清。(チョンイ )

 『青い海の伝説』 ((プルン パダウィ チョンソル)2016年) だと、この名前は人から笑われる名前です。

本作のチョンイ(イ・ソヨン) は原作の 『沈清伝』 とは違って実の娘ではなく、過去の事件によって龍王里(ヨンワン )という架空の村に流れ着き、ハッキュ(アン・ネサン) の養女になっているという設定です。
、竜宮( ヨングン)龍王様も(ヨンワンニム)、登場人物らの神頼みのセリフに出てきます。

ただ 121話もあるドラマだけに、当然 昔話ほどシンプルな話ではありません。

本作のキャッチフレーズは “怒涛のマクチャンラブストーリー” だとされていたようですが、前半を観ていると、同じ構図の場面風景や全く変化のないカット割り。

海岸端の村 龍王里とソウルとの距離感が全然なく、チョンイの義姉ヨ・ジナ(チョ・アン)は痛めた脚を引きずりながら、龍王里に現れたりソウルに戻ったりしてるなど、何かと設定がユルユル。

前半にコミカルシーンが多く、とんでもねぇシットコム じゃねぇか、と思ったりしました。

ハッキュの鬼妻パン・ドッキ(クム・ボラ) が、自分の夫の名前を隠すために
「 夫の名前はアン・ネサンよ」
と言ったり、アン・ネサンに似ている と言われたハッキュが
「アン・ネサンはもっとダンディだ」
と語るなど、ところどころにお遊びが見え隠れ、です。




本作、最近観たドラマのなかでは、同じく長編ドラマの 『頑張れチャンミ!』 (原題:走れ 
(タルリョラ)
チャンミ 2014年) によく似ています。

御曹司とフツーの娘とのラブストーリー、それを妨げる悪女と彼女に盲目的な母親が 嘘に嘘を塗り重ね叫び、主人公らを貶めていく、というあらすじは一緒。

でも本作を観たら、比較対象の 『チャンミ』 のストーリーってよく作り込まれていると感じました。

『ヨンワン様』 はときどき、伏線捨てちゃうし、どうするのか観てるとあっさり殺してしまったり、脚本が少々雑ではないか、と感じます。

『チャンミ』 ではどんなに非情な陰謀であっても、人を殺して解決しようなんて乱暴な展開はしませんでしたが、そこんとこのハードルを 『ヨンワン様』 は超えちゃってます。

そういうところがマクチャンと謳っただけあって、長編とは言ってもホームドラマではなく、ハードなストーリーです。


『チャンミ』 の主人公らがアラサーなのに対し、『ヨンワン様』 はアラフォー。

その分 子どもたちも共演してきて、その子役たちの演技やセリフもたくさん盛り込まれています。

つまり登場人物の年齢層の幅が広く、男女愛ばかりでなく親子愛まで描かれます。
感動の幅が広いと感じます。

悪女ジナが捨てた子が、実はとても身近にいたヨルメ(キム・ドヘ) であることが分かったものの、ジナは自分の欲を優先してわが子をたびたび傷つけます。

ヨルメはジナを 「悪魔のようなお姉さん」 と呼んで嫌うわけですが、それでも二人がわずかに心を寄せ合うシーンが出てきたりして・・・

それが 112話。
112話は神回です。
ジナの凍った心が少し溶けるエピソードに加えて、ハッキュが娘チョンイを実父に帰そうと、心を鬼にし、その後チョンイの幻を見るシーンは号泣ものです。

孝行娘の 『沈清伝』 というだけあって、ハッキュとチョンイの父娘愛には 何度も何度も泣かされました。



イ・ソヨン演じるチョンイは “良い子強い子正しい子” のままですが、チョ・アンが演じるヨ・ジナは、前半の単なる悪女から、ヨルメの存在を知った後は、母と名乗れない自分の “業” の深さに葛藤する側面が加わります。

なので、ドラマ後半になってくると、このジナにちょっとだけ感情移入してしまいます。

そんなジナの向かう先が、あまりに絶望的なのです。

父親からの数多くの慰問の手紙と共に・・・
お腹を痛めた我が子の眼前で、名乗ることもできず・・・

これは残酷。
 作家(チャッカ)ニム、もうちょっと何とかならなかったでしょうか。

こんな幕切れにしなくても・・・

例えば 『キム・マンドク 〜美しき伝説の商人~(原題:巨商(コサン) 金萬徳 (キム マンドク)2010年) とかのように、全てを失う・・・程度に終われなかったのかなぁ、と思います。

そう、この 雑で粗っぽい脚本の本作、その大胆な展開ゆえに、終盤はとにかく号泣続きなのです。

121話もある長編ドラマですが、絶対に観て損はないです。



               



最後に。
こんな人も出ています。

ハッキュの元恋人 マ・ジェラン役のイム・ジウンです。

基本、この人は面白いんです。

『風の絵師』 (原題:바람의(パラミ ) 畵員 (ファウォン)2008年) では貞純(チョンスン)王后(ワンフ) (キム)씨、 『王の(ワンウィ)顔』((オルグル)2014年) では懿仁( ウイイン)王后 朴씨(パク )と、時代劇ではシリアスな役柄を演じる一方、 『星も月もあなたへ』 (原題:星も
(ピョルド)
月も
(タルド)
取ってあげる
( ッタヂュルゲ )
 2012年) ではデヘヘの嫁という、ユル~い演技を観せてくれました。

本作では、最初はチュボグループ美術館館長というセレブで鼻高の佇まいでした。
が、すぐにギャグメーカーになりました (^ ^)

この人は現代ドラマだと、こんなユーモラスなキャラになるようです。

でも、視力を失ったハッキュの世話を、ヘルパーを装って行う演技は、とてもキュートでした。

ドラマ 『オレンジ・マーマレード』 (原題:
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(レン)

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(マル)

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드 
(ドゥ )
2015年) の項で、昔の少女漫画『アリエスの乙女たち』 を紹介しました。
が、本作は被介護者が盲目なので、漫画のままです。