燕山君の暴君ぶりの新解釈。 『七日の王妃』① | コワれるまで ALLORA

燕山君の暴君ぶりの新解釈。 『七日の王妃』①

先日観た映画 龍王 『背徳の王宮』 (原題:奸臣(カンシン) 2015年) に引き続き もう1本、朝鮮第10代国王燕山君の( ヨンサングン )お話です。

ドラマ 王 『七日の王妃(チルイルウィ ワンビ)』 (2017年)。

『背徳の王宮』では、ヨンサン君はおおかたのイメージ通り、破廉恥な暴君でした。

一方、『七日の王妃』は凝っています。

ヨンサン君(イ・ドンゴン)の中殿が父の妹、つまり縁戚関係にあったというだけで、端敬(タンギョン)王后(シン)씨という女性が、たった7日間で廃妃(ペビ)の憂き目にあっています。
右 サングラス快刀(クェド )洪吉童』(ホンギルドン) (2008年)でも触れたとおりです。


どういうことかというと、ヨンサン君から王座を引き継ぎ、中宗(チュンジョン)となった晋城(チンソン)大君(デグン)(ヨン・ウジン)は、既に婚姻していました。

七日の王妃

彼の糟糠の妻が(シン)・チェギョン(パク・ミニョン)でした。

七日の王妃
パク・ミニョン、もう30歳なんですねぇ。

クーデターによってヨンサン君は国政を乱した罪人となり、その禍は縁戚筋にまで及ぶ、ということなのです。


本作は、結ばれて良いはずのチンソン大君とチェギョンが、様々な障害にあって結局結ばれないという悲恋ストーリーです。

その障害のひとつが暴君ヨンサン君の縁戚だというどうしようもない事実であり、あといくつも障害があるんだけど、その中でも一番大きな障害が、ヨンサン君のチェギョンへの恋慕の情です。

七日の王妃

あぁ、あともうひとつありました。
第9代国王成宗の( ソンジョン)密書。
「チンソン大君が成人したらヨンサン君は王座を譲るように」

この密書が、“ソンジョンに近しい女性の身体に隠した”ということから、本作ではヨンサン君の淫行を密書探しだった、と解釈しています。

とにかく、ヨンサン君とチンソン大君とチェギョンの三角関係、チンソン大君に対するヨンサン君の激しい嫌悪感。
特に自分の王座というアイデンティティを脅かされるヨンサン君にとって、その密書の意味するところは、”自分の母が廃妃(ペビ)”であり、それが王位継承の正当性に突き付けられた汚点だ、という凝り固まった思い。

なんだかんだで、ヨンサン君の政治は狂っていくのでした。

話が7日間で廃妃される話って分かっている分、観ていて疲れるドラマでした。



王