燕山君の狂態と失脚を描いた、映画 『背徳の王宮』 | コワれるまで ALLORA

燕山君の狂態と失脚を描いた、映画 『背徳の王宮』

剣 『不滅の(プルミョル )李舜臣』 (原題:불멸의(プルミョルィ) 이 순신 (イ・スンシン)2004年) は観進めていて、もう80話です。

『イ・スンシン』 は第14代朝鮮王宣祖の(ソンジョ )時代ですが、もう少し遡って、第10代国王燕山君の( ヨンサングン )時代のお話を・・・
ドラマ 六根壺 『王と私(ワングァ ナ) (2007年) と同時代の一部を描いた映画、龍王 『背徳の王宮』 (原題:奸臣(カンシン)・・・邦題の字は“姦臣” 2015年)。

冒頭からナレーションはパンソリのガナリ声。
妖しい雰囲気が漂います。

背徳の王宮

背徳の王宮

悪名高き燕山君を( ヨンサングン )破廉恥極まりない淫行・狼藉に浸る王として描いていて、けっこう淫靡な映画なんですが、最後まで飽きさせないほど映像が美しいです。

露出度が高いような印象がありましたが、実はさほどでもない。
海岸やプールサイドでロケすりゃ、こんな映像はいくらでも出てきます。

でも、もうちょっと際どいか。
とにかくこの映画の淫靡さは、セリフとか小道具(春画)とか照明演出から来るように思いました。


この映画の主人公は、残虐な甲子士禍((カプチャサファ)1504年2月~10月)を引き起こした任士洪((イム・サホン)チョン・ホジン)の息子、イム・スンジェ(チュ・ジフン)。
本作では、狂えるヨンサン君(キム・ガンウ)を好き放題にさせ、政権を牛耳ようとする奸臣として描かれます。

背徳の王宮

『王と私』では、イム・サホンはチラチラ登場しますが、イム・スンジェという人物は登場しませんでした。
でも、他のドラマでは登場しているようです。

『王と私』によりますと、後宮たちの妬み心から謀られ、ヨンサン君(チョン・テウ)の生母ユン・ソファ(ク・ヘソン)は死薬(サヤク)の刑に処されました。

王と私

背徳の王宮

その母親の汚名を晴らそうとすると抵抗する朝廷家臣ら。
若いヨンサン君は内侍(ネシ)キム・チョソン(オ・マンソク)の制止も聞かず、抵抗勢力を弾圧します。
これが甲子士禍で(カプチャサファ)あり、ヨンサン君の暴君伝説の始まりとされています。

その後、史実か伝聞かは知りませんが、ヨンサン君は採紅(チェホン)と称して、享楽のために朝鮮全国から紅(若い女性)を徴発し、遊興に及んだとされています。

映画『背徳の王宮』ではイム親子が、この王の悪戯を積極的に煽るのです。
その享楽を映像化したのが、本作なのでした。

ただ、集められた女たちの中に、他の女とは志の違う女性がいたのです。
それが、卑しい白丁の( ペクチョン)身分を隠したタニ(イム・ジヨン)でした。

背徳の王宮

女性たちはヨンサン君の夜伽相手として、閨房術の訓練を受け、選抜されることになります。
なので作品、しばらくは、この訓練風景とタニの健闘ぶりが見どころです。

やがてヨンサン君は宮廷クーデターによって失脚します。

本作品により、そんな史実を、女たちの閨房術の格闘スペクタルという角度から観られるのです。
なので、前宣伝でエロチックなイメージが持たれつつも、けっこう重厚な造りの映画となっているのでした。



     龍王     龍王     龍王



本作では『王と私』の王の一族らは登場しません。

ただ、イム親子に敵対し、ヨンサン君を操ろうとする朝鮮四大妖女のひとり、張緑水(チャン・ノクス)(チャ・ジヨン)が登場します。

背徳の王宮

このチャン・ノクス、王宮内ではヨンサン君と同じ、赤い龍袍(ヨンポ)を着ています。

中殿でもないのにぃぃぃぃ。