60回 アバン先生と学ぶ世界で初めての人種差別撤廃提案 | 日本人のための近現代社会

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主に日本近現代史を日本人の立場から分かりやすく解説した動画をあげています。日記は投資について書いていきます。

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59回目の動画でヴェルサイユ体制と国際連盟について解説しました。 

今回はパリ講和会議において日本が世界で初めて主張した人種差別撤廃の提言について解説していきます。

動画解説

ニコニコ http://www.nicovideo.jp/watch/sm27587676

ようつべ https://www.youtube.com/watch?v=Mv4kYpmTpDs



日本の提案は至ってシンプルです。「人種や宗教による差別は間違いなく争いの種になっている。国際連盟が真に世界平和のための組織だと言うのなら、今後少しずつでもこの差別を無くしていくよう皆で努力しよう」と提案をしたわけです。何もおかしな所はないですよね。当時人種差別に苦しんでいた植民地の人たちやアメリカの黒人たちは日本のこの提案を知って大喜びします。差別に苦しんでいた有色人種にとって、日本の提案はまさに希望の光であり、白人達を相手に堂々と主張した日本は英雄として映ったわけです。


しかし、イギリスやアメリカなど植民地からの搾取を行っている側の国にとってはこんな提案は絶対に受け入れるわけにはいきません。アメリカの大統領はもし人種差別撤廃提案が採決されたらアメリカは国際連盟には参加しないとまで言っていました。



そんな状況ですから当然アメリカやイギリスからの反対にあうことになります。それでも日本は国際連盟の規約の前文に「国家は平等であるという原則と、人種によって不当な差別の無い待遇をする」という文章を入れるよう提案しています。


これに対し、イギリスは何と言ったか。「どうせ法的拘束力は無いんだからこんな文章を入れることには何の意味も無い。もし意味があるとするならばイギリスは断固反対である。だいたい日本は今の時点で世界の5大国の一つじゃないか。当然国際連盟でも白人じゃないからと言って待遇が悪くなるという事はないし何の問題も無いだろ?」と言って反対しています。これに対し日本は「日本の提案はあくまで理念をうたうものであって法的拘束力は無い。にもかかわらず、拒否しようというのはイギリスが今後も他国を対等に扱うつもりは全くないという証拠である」と反論し採決を求めます(アメリカも取り下げ勧告をしてきた)。



そして採決の結果、賛成11、反対5という結果になります。普通に考えたら採用されるはずですよね。しかし、議長のウィルソン(米大統領)は全会一致ではないためこの提案は却下すると宣言しています。


人種差別撤廃提案については法的拘束力は全くないにもかかわらず、重大案件につき、全会一致でないと認められないという結論が出されたわけです。まぁパリ講和会議自体が「戦勝国にだけ都合のいい世界体制」を作るための会議なわけですから、イギリスアメリカに都合の悪い事は却下されて当たり前なんですけどね。


日本は勝ち目の無い戦いに負けはしたものの全力で採決まで持っていき、過半数の賛成を得ることができました。これだけやればアバン先生も褒めてくれるんじゃないですかね。日本は初めからこの会議が正義なき力であり、日本一国の力無き正義ではどんなに正しい主張をしても却下される事は分かっていました。

それでも「何もしなければまさに何も始まらない。ジタバタしかできないなら方法は一つ。ジタバタしましょう」とばかりに堂々と人種差別撤廃を提案します。さらに却下された後にも「敗北とは傷つき倒れる事ではない。そうした時に自分を見失った時の事を言うのです。焦らずゆっくりと自分の使命と力量を考え直してみなさい。自分にできる事はいくつも無い。一人一人が持てる力の最善を尽くす時、必ずや勝利への光明が見えるだろう」とでも言わんばかりに次のように主張します。「日本はこの主張の正しさを信じている。だから機会があるたびに提案を行っていくつもりである。今回の日本の主張および採決の結果は必ず議事録に残してもらいたい」



こうして議事録に記録はされたものの、日本の主張は白人達に認められる事はありませんでした。しかし、結果として有色人種の士気を高め、東南アジアでは日本の助けを得ながらそれぞれの国が努力し、持てる力の最善を尽くした結果、大東亜戦争で日本が負けた後もそれぞれが白人との独立戦争を戦って勝利し民族自決を達成することになります。ここにきてようやく日本の主張の正しさが証明されたわけです。


次回は第一次世界大戦への日本の関わりについて21カ条の要求を中心に解説していきます。


動画に使った画像たち













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