1割磨きのお酒 | 北庄司酒造店 会長の独り言

北庄司酒造店 会長の独り言

 元三代目蔵主、会長による「酒蔵と趣味」のお話です♪

堺市の上神谷(にわだに)と呼ばれてた地域で

寺田農園さんが農薬や化学肥料を一切使わずに育てた山田錦を仕込んだ清酒「上神谷」もこの秋で8年目に入ります。

 

この機会に、少し長く成りますが、清酒上神谷の「1割磨き」が生まれた経緯からお話しします。

 

清酒「上神谷」は純米酒と純米吟醸の2品種から出発し、米の収穫量が増えてから純米大吟醸まで手を拡げたのですが、これらの酒には酒税法の決まりで3等級以上の米しか使えません。寺田さんが頑張って育ててるお米なので、「等外米」も有効活用出来ないものかと。

 

等外米が混じると「純米酒」や「吟醸酒」の表示が出来なく成るので、色んな意見が出ましたが、やはり醸造アルコール添加無しの純米造りが良いと成り、先に出してる純米酒との差別化で「1割磨き」を造ってみることに至った訳です。

 

令和2年3月に初めて造った精米歩合90%の山田錦のお酒 、当初は中々売れず、長男が産直のお店で試飲販売を重ねるうちに徐々にお客が付きだし、3年目に入った頃から急に販売量が増えだしました。ニコニコ

 

品切れが近づいてきたので、杜氏の恵崎君は気乗り薄のようでしたが、せっかくお客さん付いたんやからと、昨年3月に再び造りました。新しく出来上がったのと3年前の最初のと飲み比べてみて、余りの味の違いに、品切れしてて出来上がったら直ぐに発売する予定だったのを急遽延期しました。ショボーン

 

3年経ったのはすっかり落ち着いて深みある味わいに熟成してるのと比べると、出来立ては米糠の香りも感じる複雑な味で、荒々しい暴れ馬のようです。ガーン

 

1割磨きだと油分を始め色んな成分が多く残ってるからか、熟成の進み具合も他の酒とはかなり違って来るのかなと、もっと突き詰めてみたくなり、続けて今年も3月の最終仕込みで造りました。

 

平成7年に「荘の郷」の銘柄を立ち上げてから、出来るだけ高精白した米で綺麗な酒を造ろうとやって来ましたが、それとは全く方向が違う酒なので、初めて経験することが多く、未だにこの酒の正体がつかめません。 ビックリマーク