相手と向き合い雰囲気を感じて | ~心のやすらぎ~

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高野山真言宗の僧侶による法話ブログです。
毎月1話掲載してまいります。

 4月8日は仏教を開かれた、お釈迦様の誕生をお祝いする 「花まつり」 という行事を、真言宗はもちろん、全国の寺院でお勤めされているのではないでしょうか。

 

 残念ながら、日本で最も信仰されている仏教の開祖であるお釈迦様のお誕生日が4月8日であるというのは意外と知られておりません。 しかし、多くの寺院では、古くから、お釈迦様がお生まれになったルンビニの花園の風景を模して、花御堂というたくさんのお花で飾られた荘厳を作り、この行事を続けております。

 

 今日は、お釈迦様が悟りを開かれて、初めての御説法をされた場面をご紹介したいと思います。

「サルナート」 という場所がインドにございます。

 お釈迦様は悟りを開いて、まず誰にこれを伝えていくべきか考えておられました。そして、以前苦しい修行を共に行っていた5人の修行者に会いに行くことにしました。

 苦行を離れ、悟りを開かれたお釈迦様、5人の修行者はお釈迦様のことを「苦行に耐えられずに堕落してしまった者」と思い、初めは話を聞く耳をもちませんでした。

 しかし、以前と全く異なる威容に、思わず引きつけられていったのでした。

 

 そしてお釈迦様の説法を聞き、弟子となり仏教が広がる始まりとなったのでした。

これを 「初転法輪」 といい、その場所である 「サルナート」 は聖地として、今でも沢山の仏教徒の信仰の地とされております。

 

 私たち現代に生きる僧侶も、説法、お話を大切に、特に目の前で相手の目を見て五感でお伝えすることこそがお釈迦様の御教えであると考え、それを聞かれる皆様も、長い人生の僅かな時間を、自分たちの祖先が信仰してきた仏教は、今どう伝わっているか、お聞きいただけましたらありがたく存じます。

 

 我々真言宗の宗祖、お大師様が大切に伝えてくださった仏教に感謝する、そんな4月を思い浮かべながら、今月お話をさせていただきました。

 

 南無大師遍照金剛

 

大空町 弘明寺 月原 真人 僧正