ホテルへ戻ってそわそわとしながら大使館員からの電話を待っていると、1時間後くらいに連絡があった。大使館というのは困っている人の要望に応じて動くらしく、向こうから助け舟を出してくれるというよりは、こちらの要望に応じて動くという姿勢なのだ。そのためか「あなたはどうしてほしいのですか?」としきりに聞いてきたので、ホテル代(約7万円)が払えないのでそのお金を貸して欲しいと言ったら、高額なので貸すことはできないとはっきりと断れてしまった。
大使館は2食の食事と1日の宿代のぎりぎりのお金くらいしか貸すことができないそうである。とりあえずはカードを止めて、日本から送金してもらうしかないですから、再度、大使館の緊急連絡先に連絡して、カード会社の連絡先を聞いて下さいと言われ、お金を貸してくれるかもしれないとの淡い期待は見事に砕け散った。
再び、緊急連絡先の女性に連絡をして、カード会社の連絡先と日本からの送金方法を教えてもらった。日本からの送金方法に彼女はあまり詳しくないらしく、日本のスルガ銀行からウエスタンユニオン銀行へ送られ、フランスの郵便局で受け取ることができるようだとのこと。ただし、送金には早くても1日はかかるだろうと言っていた。
そこで問題になるのが、送金にかかる時間である。もし1日送金に時間がかかったとすると飛行機の出発時間までにホテル代を精算することができない。とすると、新たに航空券を買い直さないといけなくなってしまう。しかも、正規の値段で購入しなければならず、値段は30万円くらいするらしいのだ。
まずは、紛失したクレジットカードが使用できないように、さきほどの女性から教わった電話番号に電話した。カード会社のオペレーターがすぐに電話に出たが、英語であった。今思えば冷静だったと思うが、英会話の本に載っていてどこかで覚えていたのだろう、はじめての使う場面で、とっさに出てきた。” Is there who can speak Japanese ? " (日本語を話せる人はいますか?と。幸運なことに、日本人のオペレーターと話して、それを最初に出た英語を話すオペレーターへ伝えてくれることになった。3者の会話が聞こえるのだが、英語のオペレーターが要領を得ないことがあったのですが、日本語を話すオペレーターが結構強い口調で適切な指示を私にかわって出してくれたので、本当に有り難かった。同じ日本人で財布をすられたという事情を話したので、きっと同情してくれたのだと思う。
” Is there who can speak Japanese ? " のフレーズは、海外旅行へ行く人は覚えていて損は無いと思います。使う場面が無い方がよいのですが、困った場面では、言ってみる価値はあると思う。
その後、送金をお願いするため父親に電話をかけた。電話をかける前は「なにやってんだ」と言われるかと思ったが、そんなことはなく送金方法を調べて送金するから心配するなと冷静な対応だったので、とてもありがたかったとともに“まったく動揺しないところは、さすが親父。”と見直した。
つづき