~前編からの続き~
前編はこちら:インスペクション説明義務化!まるわかり解説~前編~
≪問題点 5≫
国交省は今回の制度により、既存住宅売買瑕疵保険の加入を促進するという狙いがあります。
しかし瑕疵保険に入るための検査は、今回改正宅建業法により誕生した「既存住宅状況調査技術者」資格だけではできません。
瑕疵保険の検査員の資格というのが別にあります。
確かに建物状況調査の調査項目は、瑕疵保険に入るための検査とほぼ等しいです。
そのため、あっせんされたインスペクションで瑕疵保険に概ね入れそうだという事はわかります。
そこで実際に瑕疵保険に加入したいとなった時、再度、瑕疵保険の検査資格を持った人間によって検査を行わなくてはならないという馬鹿馬鹿しい事態が発生します。
既存住宅状況調査技術者資格とあわせて、瑕疵保険の検査員資格も持っていれば調査は1回で済みます。
インスペクション業者をあっせんする場合は、瑕疵保険の検査も同時に可能か?という点を必ず確認する必要がありそうです。
≪問題点 6≫
上段の瑕疵保険の話とリンクしますが、あっせんされたインスペクション実施時に、調査を行った技術者が「この物件は瑕疵保険入れますよ!大丈夫です!」とポロっと言ってしまう事もトラブルの元です。
既存住宅状況調査技術者がインスペクション時にその物件を「特に問題はない」「この程度のひび割れなら大丈夫!瑕疵保険にも入れますよ!」と判断したとします。
しかし瑕疵保険の検査を改めて別の人間が行った結果、「このレベルのひび割れは瑕疵保険には入れません」となれば、瑕疵保険に入れません。
これは大きなトラブルとなること間違いなしです。
見る「目」が変われば判断も変わります。
また、弊社へのお問い合わせ・ご相談の際に多いフレーズが、「インスペクション済みだから安心と言われた」という言葉です。
インスペクションは建物の現況(劣化の有無など)を伝えるものであり、欠陥がないことを証明するものでもないですし、万が一引き渡し後に何か不具合が起こっても、それを保証してくれるものでもありません。
おそらくインスペクションやら瑕疵保険やら、混乱されている方が多そうですね…。
もしくはわかっててのセールストークなのか。。。。。
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前編に引き続き、ざーっと書き綴りましたが、この宅建業法の改正で何がどうなって、また何が問題か、などご理解いただけたでしょうか…?
既存住宅の流通が促進される、バラ色に見える今回の宅建業法の改正ですが、実は穴だらけでトラブルメイカーな予感です。
インスペクションというものが世間に広く認知していただける大きなきっかけとなることは大変喜ばしいことです。
しかし、ぜひ「買主」が自身で「利害関係のない第三者」のインスペクション業者を探して選んで依頼していただきたいと思いますし、私たちはそのように大きな声で叫び続けたいと思います。
またまた次回は、「改正宅建業法によるあっせんされたインスペクション」と、私たちがこれまでおこなってきた「ホームインスペクション(住宅診断)」の違いについて書きたいと思います。
以上、広報 成田でした