今朝は木下晴弘さんの著書よりご紹介します。
「あなたは、お母さんの肩叩きをしたことがありますか?」
この問いに、ほとんどの学生は「はい」と答えるそうです。
次の質問に、学生たちは驚きます。
「あなたは、お母さんの足を洗ってあげたことはありますか?」
これには、ほとんどの学生が「いいえ」と答えるそうです。
それでは、3日間差し上げますので、その間に、お母さんの足を洙っで報告に来てください。
それで入社試験は終わりです。
学生たちは「そんなことで入社できるのなら」と、ほくそ笑みながら会社を
あとにします。
ところが、家に帰って実際にやろうとすると、母親に言い出すことが、なか
なかできないのです。
ある学生は、2日間、母親の後をついてまわり、母親から「お前、おかしく
なったのか?・」と聞かれました。
「いや、あのI、お母さんの足を洗いたいんだけど……」
「なんだい? 気持ち悪いねえ」
こうしてその学生は、ようやく母親を縁側に連れて行き、たらいに水をくみ
入れました。
そして、お母さんの足を洗おうとして、足を持ち上げた瞬間……。
母親の足の裏が、あまりにも荒れ放題に荒れて、ひび割れているのを手のひ
らで感じて、絶句してしまいます。
その学生は心の中で、「うちはお父さんが早いうちに死んでしまって、お母
さんが死に物ぐるいで働いて、自分と兄貴を養ってくれた。この荒れた足は、
自分たちのために働き続けてくれた足だ」と悟り、胸がいっぱいになってしま
いました。
そして「お母さん、長生きしてくれよな」と、ひとこと言うのが精いっぱいだったのです。
それまで、息子の「柄にもない親孝行」をひやかしていた母親は、「ありが
とう」と言ったまま黙り込んでしまいました。
しばらくすると、息子の手に落ちてくるものがありました。
それは、母の涙でした。
学生は、母親の顔を見上げることができなくなって、お母さん、ありかと
う」と言って、自分の部屋に引きこもりました。
そして翌日、彼は会社へ報告に行きました。
「社長、私はこんなに素晴らしい教育を受けたのは初めてです。ありがとうご
ざいました」
「君は一人で大人になったんじやない。お父さんやお母さんや、いろいろな人
に支えられて大人になったんだ。そして、これからも、自分ひとりの力で一人
前になるのではないんだ。私白身も、お客様やスタッフや、いろいろな人だち
との出会いの中で、一人前の社会人にならせていただいたんだよ」
喜んでくれる親を見て、人に喜んでもらうことがこんなにも素晴らしいものかと
体験する。なんと素晴らしいことでしょうか。
涙の数だけ大きくなれる!
木下晴弘さん
フォレスト出版より。
あなたにすべての善きことが雪崩のごとく起きます