(業務外)傷病休職後の復職
業務外で発生した傷病の場合であっても、傷病により休職することについては当然の権利として認められています。健康保険法には次のように定められています。
<健康保険法第99条>
1項 被保険者(任意継続被保険者を除く)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
2項 傷病手当金の額は、一日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する以前の直近の継続した十二月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る。以下この項において同じ)を平均した額の三十分の一に相当する金額とする。
<労働者・従業員のみなさまへ>
体調が思わしくないので、会社を数ケ月間休んだ。
数ケ月後、「さぁ、職場に復帰しよう!」と思って会社に連絡したところ、「会社としては、従前の仕事を任せるには不安がある」と言われ、傷病休職後の復職を拒否された。あるいは、傷病休職後に違う職種への転換を打診された。
労働者本人としてみれば、休職の原因となった疾病等が無くなったのだから、当然復職できると思っていたのに、納得がいかないでしょう。
場合によっては、主治医の「復職可能である旨の診断書」を会社に提出したにもかかわらず、復職を拒否されることもあります。
さらに、休職期間満了に伴い、解雇(あるいは、自然退職)にしてくる会社も存在します。そうなると、生活に困窮する事態に陥ります。
個々の傷病の状況はそれぞれ異なりますし、会社側の事情もあります。
もちろん、会社の言い分が正しいこともありますが、会社の対応が法的に問題のある場合もあります。
私からのアドバイスとして以下のとおりです。
まず、適切な行動をする前提として、客観的にあなた置かれた状況を把握しておく必要がありますので、①~③をご確認ください。
① 「就業規則等の休職規定」を確認してください。
休職制度は任意の制度であり、復職に際しても、休職制度の内容を合理的に解釈して判断していくことになります。就業規則に休職規定がない場合には、休職時の合意内容を記録しておくことが重要です。
就業規則に私傷病休職制度がある場合、以下の点を確認してください。
ア)休職期間と休職期間満了時の取り扱い
(復職できない場合、解雇になるか退職となるのかの確認)
イ)休職期間中の賃金
ウ)復職する場合の手続き(「治癒」の証明方法等の確認)
② 自身の労働契約において「職種が特定されているか否か」を確認してください。
職種が特定されていない場合は、休職前の業務(原職復帰)が困難であっても現実に配転可能な業務があればその業務に復帰させるべきだと解される傾向にあります。
③ 「職場環境」を把握してください
休職前の業務・原職への復帰が困難であっても、他の軽易な業務に就くことができ、様子を見て通常業務へ復帰できるという回復ぶりである場合には、現実的に配置可能な業務があるか否かを確認してください。
①~③を確認したうえで、④~⑤の手続きを採ってください。
④ 主治医に「復職可能であるとの診断書」を出してもらってください。
休職事由の消滅したことの証明です。
⑤ 会社に「復職願」を提出してください
労働者本人の会社に対する復職したい旨の意思表示です。
上記①~⑤により、「復職願」を提出したにもかかわらず、会社から復職を拒否された場合には、もはや個人での対応は困難と考えられます。
主治医の診断と、会社の産業医や人事部の判断が異なる場合、「職場に復帰できる条件」を明確にしつつ詰めていく必要があります。。
もし、傷病休職後の職場復帰に対する会社の対応に納得がいかない場合や、会社側の復職拒否の理由が理不尽と感じられた場合には、専門家のアドバイス・サポートを受けることをお勧めいたします。
復職拒否が明らかに会社の都合による場合には、内容に応じて、労働基準法第26条に基づく「休業手当」の請求もしくは民法536条2項に基づく「賃金」全額の支払い請求が認められる可能性があります。
さらに、雇用契約を一方的に終了させられた場合には、労働契約法第16条により「解雇無効」(地位確認)の請求が可能な場合もあります。
何より大切なことは、一人で問題を抱えこまないこと。
(業務外の疾病)傷病休職後の復職問題はお早めに、専門家(カウンセラーでメンタルヘルスにも強い社会保険労務士)に相談することを是非お勧めいたします。
労働相談キタデオフィス
[運営:北出茂社労士事務所、提携:片山法務事務所]
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<経営者・会社担当者のみなさんへ>
休職期間は公務員では3年間、大手民間企業では2年間とされていることが多いです。ただし、中小零細企業では、会社の規模や実情に応じて様々な規定がされています。
また、近年はメンタルヘルス等の目には見えない精神疾患の場合が問題となるケースが多いこともあり、復職の可否についてはさまざまな困難な問題を伴います。
ここでは、治癒したか否かの判断は、労働者の職種が限定されているか否かで違ってくることを知っておいてください。
[労働者の職種が限定されている場合]
原則として、治癒とは休職期間満了時に、休職前の職務(原職)を支障なく行い得る程度に行える健康状態に回復したことと解されています。
例外的に、就業規則上で職種の変更が予定されていることその他の事情があるときは、原職に復帰できる程度に健康状態が回復していなくても債務の本旨に従った労務の提供があると認められる(治癒が認められる)と解されています。(大阪高判平成14年6月19日<カントラ事件>)
[労働者の職種が限定されていない場合]
休職前の業務について労務の提供が十分にできるほどには健康状態が回復していなくても、「労働者の地位、経験等の事情や使用者の社内事情等に照らして配置替え等により、現実に配置可能性のある他の業務があり、その業務について労務の提供を十分にできる程度まで健康状態が回復している場合には、治癒が認められる」と解されています(最一小判平成10年4月9日<片山組事件>)
従業員側で記述したことの内容を、会社側の方も参考にしてくださればと思います。
顧問社労士がすでにおられる会社様であっても、労働者側でも仕事をしてきたスペシャリストの社労士からアドバイスは、セカンドオピニオンとしても有用です。ぜひ、ご相談ください。
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