映画のジャンル分けって必要だっけ……?
そんな疑問で頭がいっぱい。
アクションに次ぐアクション。
大エンターテイメントである。
こんな神父が実在していたとは失禁。
そう、実話です。本当にあった悪魔祓いのスペクタクル。
実話を超越してくる迫力エンタメ
あらすじのベースは定番。
とある教会に引っ越してきた親子が怪奇現象に襲われる。
あ、すみません、定番じゃありません。
彼らは聖職者ではないにも関わらず、転居してきた。
ザ・無謀。
やめたほうがいい。
当然、悪魔が乗り移ります。
その一大事にヴァチカンから派遣されたのが神父、その名をアモルト。
このアモルト神父が実に人間くさい。
こんな破天荒が実在していたとは驚く。
話しかけやすさ、ヴァチカンNo.1。
描きようによっては寒々しい恐怖の盛り合わせになり得るものを、ここでは徹底してエンタメだ。
アモルトの武器は文字通り、腕力。
そして、みなぎる気合い。
武闘派 VS 悪魔、世紀の対決が面白くないわけがない。
おそらくエクソシスト映画史上、最高高度まで人が浮く。
もちろん悪魔なので、形相は恐ろしい。
が、憑依相手の体格が小さい。
この、小ささがキモだ。
キャスト&スタッフ
アモルト神父役のラッセル・クロウはここに来てハマり役を手に入れた。ぴったり。大柄化した体躯に潜む敏捷性。可愛げがダダ漏れ。
若手神父役のダニエル・ゾバットの必死さよ。怪しい顔つきコンペがあったら、優勝。
母親役のアレックス・エッソーが美人。細い。つまり、ホラー向き。
長女役のローレル・マースデンが可愛い!
息子役ピーター・デソウザ=フェイオニーの芝居が素晴らしい! 実は美少年。
教皇役がフランコ・ネロ! なので、カッコ良すぎ問題が発生しました。
ジュリアス・エイバリー監督は快作『オーヴァーロード』でもナチスとゾンビのコラボという、とんでもアイデアで旋風を巻き起こした。どんな世界を見せてくれるのかと楽しみな監督の一人。シルベスター・スタローンのヒーロー映画『サマリタン』も観なければ。
漫画家でありプロデューサーのジェフ・カッツはブレイク中だ。『バービー』の原爆騒動の際にTwitter……ぃや、Xで、日本に寄り添う発言をツイート……ぃや、ポストして人気を呼んだ。日本のプロレスが大好きで、投稿も日本語である。
しかも、風貌も↑良い。推せる。
ガブリエーレ・アモルト(アモース)神父の回顧録『エクソシストは語る』を映画化。Wikipediaを読むだけでも話がデカい。エンタメから見たら元ネタの宝庫だろう。なお、中古本のお値段も凄い。↓
悪魔的な連続攻撃はプロレス流
ストーリーに謎解きもあるから、飽きとは無縁。
キリスト教会の主義主張も見受けられて、なるほど、そう来ましたか感もある。
が、全てを受け入れてしまえるのは、アモルトの愛嬌の成果だろう。
たとえば、ベスパに乗るアモルト↓
かわいい。
思い返してみても、アクション以外のシーンがあったかどうか……(ある)
ドカーンからのドッガーン!からのバチコーンンンッ!!!である。
あちこちが燃え始めるので不安になる。
こんなに火薬を使う悪魔祓い映画を初めて見た。気がします。
俳優は皆、体を張る。
スタントマン大活躍。
エクソシスト映画なのに、だ。
プロデューサーの嗜好か、電流爆破プロレスも思い出す。
腰の重い当方、周囲の評判に推されてギリギリで駆け込んだけれど大満足。
その上、途中、本気で悪魔に騙されたので脚本も上手い。
映画っていいなと思える。
無心で楽しめる。
家族愛の傑作『死霊館 エンフィールド事件』と同様に、ホラージャンルがもどかしい面白さ。
世紀の傑作『エクソシスト』を生んだウィリアム・フリードキン監督の訃報が世界を悲しませる只中で、数多の派生作品を経て、エクソシスト新時代の幕開けを見た思い。
願わくばシリーズ化してほしい。
いくらでも作れる予感があります。
まだまだこのジャンルは、イケる。
2023年製作/103分/PG12/アメリカ・イギリス・スペイン合作
原題:The Pope's Exorcist
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
監督:ジュリアス・エイバリー/製作:ダグ・ベルグラッド、マイケル・パトリック・カチュマレク、ジェフ・カッツ/原作:ガブリエーレ・アモルト/脚本:マイケル・ペトローニ、エバン・スピリオトポウロス/撮影:カリット・モタセブ/美術:アラン・ギルモア/衣装:ローラ・マリー・ムーガン/編集:マット・エバンス/音楽:ジェド・カーゼル/出演:ラッセル・クロウ、ダニエル・ピーター・デソウザ=フェイオニーゾバット、アレックス・エッソー、ローレル・マースデン、ピーター・デソウザ=フェイオニー、フランコ・ネロ
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