ご存知、世界各都市でローーーーングラン上演されているミュージカル『CATSキャッツ』の映画化である。
劇団四季は専用劇場も作ってしまったほど。
猫が主役の名物舞台。
映画に登場するのは、猫人間だ。
え…こわい…という立ち上がりですけれども、ハマれるのかチャレンジだ。
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
半分人間、半分猫の強烈ビジュアル
あらすじは、こうだ。
街の下の下の方。
ゴミがあふれる界隈に暮らす野良猫たちの姿だ。
年に一度だけ、ジェリクル舞踏会が開かれ、選ばれし1匹は希望に満ちた新しい人生…ああ、失礼しました、猫生を得ることが出来る。
そんな街に迷い込んだ、美人猫。
彼女が目にする猫たちの過去と暮らしと、夢思う世界が描かれる。
ファンタジー・ミュージカル群像劇である。
セリフ量<歌唱量なので、歌とダンス、人間離れした(猫だけに)アクロバットが見どころ聴きどころ。
個人芸あり、群舞あり。
美術も華やか!
キラッキラである。
ただ、問題があるのです。
猫たちがもう、もう、気持ち悪い。
戸惑いが止まらない。
舞台では全身タイツをベースに毛皮を装着し、各猫の特色を表現してワクワクな出で立ちなのだけれども、これは映画である。
最新CGで、もっとリアルにしてしまえるのである。
その結果、気持ち悪いクネクネの猫人間という生き物が完成してしまった。
序盤しばらく、苦行である。
ぎもぢわるい…猫でも人間でもない、この感じ。
新種の生き物発見。
ワイヤーアクションやCG大動員して、尻尾も耳も猛烈に動きます。
顔の毛やめて、である。
しかも、生理的に無理な生き物もクネクネ登場。
やーめーてーである。
ところが、物語が進むにつれて楽しくなってきたので、戸惑った。
マタタビを嗅がされたのかもしれない。
キャスト&スタッフ
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
主役の可愛い猫ちゃん役が素晴らしい動き! ゴム毬(まり)のよう。英国ロイヤルバレエ団のプリンシパル、フランチェスカ・ヘイワードであった。小顔なんてもんじゃない。
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
英国が誇る名女優ジュディ・デンチが登場すると、映画が一気に締まるから素敵だ。ザ・貫禄。毛皮もたっぷり。そうそう、こういう出で立ちが観やすい。
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
ゴージャスな猫が場を魅了するのだけれども、大人気歌手テイラー・スウィフトであった! 猫化してさらに輝くタイプ。
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
いきなり猫の習性を見せつけてくるイアン・マッケランが見事で、好き。
(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.
落ちぶれ猫役ジェニファー・ハドソンの歌声が圧巻!
アンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽は、麻薬のような働きがある。気がします。名曲オンパレード。純粋に良い曲。
監督は、個人的に話が合わない気がしてやまないトム・フーパーである。真面目トムさんのギャグで笑えたためしがないのですけれども、今回、やっと気づいた。フーパーさん、下ネタに関してはアホなのかもしれない。そう思うと、許せるから不思議。(エラそうで恐縮です)
CGバンバン使おうぜ!と、製作総指揮のスティーブン・スピルバーグが言ったのかどうかは未調査なのですが、デジタル処理の功罪が如実かもしれなくて困る。
違和感を乗り越えた圧巻の歌
いっそのこと、映画なのだから舞台とは違っていい。ような気がします。
猫たちの衣装はゴージャスにゴスロリに、英国だからパンクにしてしまって、猫耳を付けて躍動したらどうだろうか。
余程、カッコよろしかったのではないか。
などと、年間被服費が5万円に満たないセンス・ゼロBBA(当方)が言ってます。
撮影中ずっと、モーションキャプチャー用のタイツ装着で演じきった俳優女優陣の苦労も思う。
『猿の惑星』シリーズが成功したのは、やはり、猿だからだろう。
このように↓二足歩行に何の問題もない。
©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
だが、猫は違う。
そのせいもあって本作は、最低映画に贈られるゴールデンラズベリー賞の第40回で、最低作品賞、最低監督賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞、最低スクリーンコンボ賞、最低脚本賞を受賞して6冠の快挙を成し遂げた。
そんなに!
現実に寄せた姿の猫たちが立ち上がって歌い踊るのは…と、だいぶ長めの時間、絶望していたのだけれども、これはミュージカルである。
曲が流れる。
役者が歌い上げる。
そこに、猫それぞれの人生が重なってくる。
そうするうちに、ある瞬間、パッと雲が晴れた。
それで帳消し!
中でも、あの名曲にはシビれた!
気持ち悪さの向こう側に、輝くものが見えた。
歌と踊りと、舞台的な演出。
妙にクセになる魔法が、少し分かった。
たぶんそれが、ロングラン舞台を生んだマタタビ効果なのでしょう。きっと。
2019年製作/109分/G/イギリス・アメリカ合作
原題:Cats
監督・脚本・共同製作:トム・フーパー/製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、アンドリュー・ロイド=ウェバー、アンジェラ・モリソン、ジョー・バーン/原作・原案:T・S・エリオット、アンドリュー・ロイド=ウェバー/共同脚本:リー・ホール/音楽:アンドリュー・ロイド・ウェバー/撮影:クリストファー・ロス/美術:イブ・スチュワート/衣装:パコ・デルガド/出演:フランチェスカ・ヘイワード、ロビー・フェアチャイルド、ジェニファー・ハドソン、ジュディ・デンチ、ジェームズ・コーデン、ローリー・デビッドソン、スティーブン・マックレー、ジェイソン・デルーロ、レベル・ウィルソン、イドリス・エルバ、テイラー・スウィフト、ダニー・コーガン、ニープ・モーガン、イアン・マッケラン
※トム・フーパー作品の感想です
※読んでいただいてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。
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