恋する女子高生と中年男
女子高生の恋だ。
相手はバイト先の店長、45歳のバツイチ男。
夢から離れようとする女子高生と、夢を遠くに置いてきたファミレス店長。
JK女子高生は猛烈な美人である。
日本中の中年男性に夢を与える映画に違いない。
そう、キーワードは「夢」だ。
彼らの心境に合わせて、映画のリズムが変わる。
高速になったり、立ち止まったり。
恋がなせる奇妙な行動が、可笑しいったらないのです。
誰しも心当たりがあるのではないか。
可愛くって、爆笑もさせてくれるからニヤニヤが止まらない。
恋を横糸に、夢を縦糸に。
美少女と冴えない中年男を描いて、これほど爽やかになるとは。
痛快な口当たりに、切なさもトッピング。
青春の蹉跌(さてつ)であり、中年の後悔だ。
キャストは清々しさ仕様
JK役は売れっ子美女、小松菜奈だ。
血液の代わりにキリンレモンが流れているのではないかというくらいに、爽やか。
睨みも笑顔も涙もダッシュも、全部、いい!
店長役の大泉洋が自然で、更に人気が上がった気配。
エロさがまるでない。このストーリーにおいて、このニュートラルさは貴重。
清野菜名が登場するとガン見してしまうのですが、大人女性にも見えるから不思議。
NHK朝ドラ『ひよっこ』の磯村優斗が、ここでは厭らしさも出しつつの良役。
同じく『ひよっこ』組の松本穂香も印象が違う! 魅力再発見。
他校陸上部の後輩役が山本舞香なのだ。二階堂ふみ似。この人は、伸びる。
大泉洋と共に劇団TEAM NACS組の戸次重幸が、毛だらけ。
吉田羊が『ラブ×ドック』から一転、お母さん、そのもの!
濱田マリは笑いの天才か。
当方激推しアイドルグループ私立恵比寿中学から脱退した廣田あいか(ぁぃぁぃ)の瞬発力に笑う。
劇中音楽も良く、エンディングの神聖かまってちゃんカバーにも胸が弾み。
エンドロール映像も良いので、キャスト名を見逃がす罠。
永井聡監督は『帝一の國』続いて、センス爆発の構成力。
思わず、キャストほぼ全員に触れたくなる演出力ではないか。
三木聡監督と並んで、「2大・青春映画のサトシ」としたい。
青春をやり直し
コミック原作からどの程度持ってきているのか不明ながら、描写の細やかさはさすがである。
女子から見た恋あるあるには、大笑い。
男子から見ても、たぶん、そうなのに違いない。
当方のように、飲食バイト経験者には懐かしさも満点。
いかがわしさや、下心が微塵もないのだから、凄い。
当方のように、JKと中年といったらエロい想像しか浮かばない人は反省だ。
主演2人の飄々とした雰囲気が、相乗効果。
人を好きになるのに理由はない。
ただ、心が動く。
動いた鼓動が、足を動かす。
恋している人にも、恋を忘れた人にも、あたたかさを思い出させてくれるような。
ラストシーンの表情は、印象的。
少女たちが駆け抜ける姿は、格別。
雨音が心のゴミを洗い落としてくれるような。
人を想うのならばこうありたいという、手本のような映画である。
スクリーン(TOHOフリーパスポート)
2018年・日本
監督:永井聡
脚本:坂口理子
原作:眉月じゅん
音楽:伊藤ゴロー
参加アーティスト:の子、mono、柴田隆浩、澤部渡
主題歌:鈴木瑛美子×亀田誠治「フロントメモリー」(神聖かまってちゃん曲カバー)
出演キャスト:小松菜奈、大泉洋、清野菜名、磯村勇斗、葉山奨之、松本穂香、山本舞香、濱田マリ、廣田あいか、戸次重幸、吉田羊
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