登坂side)
この1時間少々で、それまでのエリナを取り巻く
状況とオレら二人の関係は、ガラリと変わった。
エリナが背負ってきた元婚約者の借金の返済が
なくなり、返済の為にやっていた仕事から
解放された。
そして、オレら二人の間にあった障害は
無くなった。
橘さんと土田さんと弁護士さんの三人が
部屋を出ると、エリナは泣き崩れた。
オレは隣にしゃがみ込みエリナの腰を引き寄せた。
登坂「ずっと我慢してたんだな。」
エリナは静かに頷く。
涙があとからあとから流れるが
声を押し殺すように静かに泣いている。
背中に手を回し、そっと摩る。
どれだけ時間が経ったのか、
気付くとオレはエリナに寄りかかり寝ていた。
「寝ちゃってた??
ごめん。ほとんど寝てねーから
さっきあの三人が帰って二人きりになって
ほっとして...ごめんな。」
エリナ「ううん、いいの。
オミが寝ちゃって、泣いてた私も
心が落ち着いて来たのがね、わかったの。
寝息を聞いて、時間てこんなにも穏やかに
過ぎていくんだなって。
オミ、出会ってくれて
ありがとう。
・
オミ、時間だいじょうぶ?」
登坂「? ...?!
やばっ!!何時だっけ?
オレ、ランチ予約...
あーーー」
「もしもし、登坂です。
うん、ごめんね、
打ち合わせ押して
今終わって...
ほんと?うん、今直ぐに出るから
ほんとごめん、じゃ後で
よろしく」
「と言うわけで、エリナ行こっ
荷物は?」
エリナ「出かける?
出かけられる?」
登坂「出かけるよ!
今日は泊まり!
で、これからのことも話し合わないと...
その前にやりたい事もあるし...
エリナ、行こっ」