登坂side)
エリナの携帯が繋がらない。
「電源が入っていないため、かかりません」
????
今まで話してたのに
電源落とすとか
充電切れるとか
ないだろ??
(直ぐそこなのに、部屋がわかんね〜
あの人に連絡してみっか!)
エリナside)
「橘さん...
どういうこと?
・ ・ ・
説明して下さい」
ゆっくりと話してくれる橘さんの
言ってることを頭で理解出来ない。
橘「最初は、おそらく優也に嫉妬してたんだと
思う。恵まれてる環境に育って、会社だって
コネクションで入社して、お客だってコネクション
使って。
だからって、そんな奴相手にしなきゃいいだけの
話なんだけど。
どうしても許せない事があった。」
エリナ「・ ・ ・ 」
橘「お前みたいな婚約者がいながら、
女の子と遊んでたし、それも1人や2人じゃなくて
そいつらもコネクションだったよ。
次第にさ、アイツ見てたら
正直に勝負すんのアホらしくなって
アイツの顧客の案件から操作するようになったんだ。
アイツはさ、おぼっちゃんだから
慌てることってないんだよね。
上司のせいにしたりさ、しまいにはいとも簡単に
辞めるってなって。
我慢できなくて、アイツを嵌めた。
まさかエリナにそのとばっちりが行くなんて...」
♫ピンポーン
登坂side)
土田さんに連絡し、部屋を教えてもらった。
ドアベルを鳴らす。
ガチャッ
静かに、まるで外の様子を伺うように
ドアが開いた。
出てきたエリナの表情は顔面蒼白だ。
登坂「何かあったのか?」
エリナ「オミ...」
そう言うと今にも泣き出しそうになり
オレの袖口を掴んだ。
オレはエリナの手を取り
指を絡ませ、しっかり繋いだ。
エリナは子猫みたいに少し震えてる。
ドアがもう一度大きく開き、
「エリナ、中に入ってもらいなさい」
と、男が言う。
「橘さん」
とエリナが小さな声で、オレに教える。
何も答えず頷き、エリナの手を離さず
部屋へ入った。