日本の教育って | 高機能自閉症のユウト君とアスペルガーの母ちゃん

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皆様、こんにちは。しあわせ母ちゃんです。


「歴史の勉強なんかしたって意味ない!」
という意見を目にしました。
こういう人、たまにいますよね。勉強に苦労している最中の中高生の発言ならいざ知らず、大の大人でも言う人がいるから驚きなんだけど。

以前どこかで書きましたが、母ちゃんがユウト君に絶対に学んで欲しいと思っていることの一つは歴史です。
これから大人になっていく世代に歴史の知識は絶対にいると思う。
なぜなら、
歴史は繰り返す
から。
歴史は人間の行動と心理が積み重なって起こった出来事の記録。それを知らずして未来は予測できないから。

日本の教育は暗記偏重。もっと自由に発想させる時間を作るべき。
という意見も目にすることがある。
でもさ、(これもどこかで主張したけど)知識がなければ生まれてくる発想のレベルは低くなるのよアセアセ
知識を身に付けさせた上で、新しい発想を生み出させる
これが大事なんじゃないかと思うんですね。

もう何十年も前ですが、長兄がヨーロッパの某大学院に留学していた時のこと。
ゼミで討論していた時、兄がヨーロッパの歴史を踏まえた発言をしたそうなんですね。そしたら周りの学生(欧米人)が「お前はアジア人なのに、なんでそんなにヨーロッパの歴史を知っているんだ?」と尋ねたとか。で、兄は「この程度は高校で習う」と言ったら、「日本は高校でヨーロッパの歴史も勉強するのか?!びっくり」と驚かれたんだそうで。
その時、兄は「日本の教育も捨てたもんじゃないな」と思ったと言っていました。


これは母ちゃんの知り合いの留学生の話。
彼はアジアの某国から来ていたんですが、母ちゃんが「日本よりそちらの国の方が教育が凄そうなのに、なぜ日本の大学院に来たの?」と尋ねると、こう答えてくれました。

確かに子どもの教育については日本よりずっと厳しいし、親の意識も高いと思う。でも大学院について言うと、僕の国の大学院はやりたい研究をさせてもらえるわけじゃない。教授に与えられた課題をやるだけだから、研究したいことがあってもできない可能性が高いんだよ。
日本は学生が自分で選んだテーマを研究できるでしょ。

これには驚きました!
大学院生たるもの、突き詰めたいテーマを突き詰めるのが当然だと思っていたから。
その国では大学院生は教授の研究を手伝う存在なのか?!

その留学生は続けて言いました。

大学院に入る前、日本語学校で研究計画書を書いたり面接の練習したりする授業があったけど、僕の国の学生たちはあれが嫌いな人が多かった。就職のために学歴が欲しくて日本に来ただけの人は研究テーマが見つけられないから、論文が書きやすそうなやつとか、早稲田とか東大とか行きたい大学院の教授に受け入れてもらえそうなテーマを適当に選ぶんだけど、興味がないから動機とか意義とか書けないんだよ。でも日本語学校の先生には「これはただの客観的な事実であなたの動機じゃない」とか「オリジナルの部分がなければ研究する意味がない」とか言われて合格もらえない。
僕はやりたいことがあって日本に来たから、文法とか言葉の使い方とか直されただけだったけど。

彼の話を聞いて、母ちゃんは日本の小学校が夏休みに自由研究させることの大切さを感じました。
我が家のユウト君は自由研究が大好きでしたが、嫌いな人も多いですよね。そもそもテーマが決まらないとか。
最近は自由研究の代行業者があるそうですが、たとえ発想が貧弱でも、出来上がった物のレベルが低くても、将来のことを考えるならばやはりあれは自分でさせるべきですね。
すごい研究をする必要はない。「今の自分よりちょっと上(i+1)」であれば。それが子どもを伸ばすから。
ユウト君だって、6年生の時の研究では、「ウツボカズラは消化液が捕虫袋の中にある限り、自ら消化液の酸性度を調整する力がある」ことを発見していましたが、初めて取り組んだ1年生の時の自由研究はハエトリソウに色々なものを食べさせて観察しただけですからね。毎年一歩ずつ進めて、最後は本にも書かれていないことを見つけられたわけで。
幅広い知識を与えながら、子どものうちから研究の初歩を課題として与える日本の教育。やっぱり捨てたもんじゃない。

母ちゃんは日本の教育が世界一だと思っているわけではないし、非の打ち所がないとも思っていません。逆に、幼い頃からのタブレット学習は嫌だと思っているし、自分と違う人を受け入れる社会が作られる教育にはまだまだなれていないと思っています。
でも、批判する前に、なぜ今こうなっているのかという背景を知り、様々な角度から評価できたらと思います。