九回死んだ男 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

八犬伝をご覧いただいた皆さま、大変な時期に劇場に足を運んでいただき誠にありがとうございました。

役者兼小道具係のきむらです。

 

役者としては、今回は里見の殿様も含めると、合計5役やらせていただきました。私個人としては、1回の公演で演じた役数としては最多で、演じ分けがうまくできず直前まで苦労しました(相変わらず演出家泣かせですみません)。本番で役の個性が出せていたならよいのですが…若干不安も残る閉幕でした。ちなみに、5役のうち3役は登場後すぐに死ぬ役でした。3回公演があったので、計9回舞台の上で死んでいるという、こちらも個人的には新記録でした(笑)

 

劇中に名前は出てきてませんでしたが、5役のうち個人的に一番思い入れがあるのは、牛鬼(船虫を突き殺した牛)の飼い主、鬼四郎でした。鬼四郎は稽古の初期と本番で一番印象、というか話し方が変わった役で、初期段階では本番のように標準語寄りではなく、バリバリの方言で話すキャラでした(また、本番に比べるとかなりスローペースで話し、動きものっそりとしていました)。小屋入りスタッフの方から質問があったりもしたので、ちょっと次の段落で鬼四郎の方言について書きたいと思います。※興味のない方は次の段落は読み飛ばしてください。

 

 

初期に鬼四郎のモデルにしていた方言は、岩手県の盛岡方言と宮古方言でした。方言の発音規則に基づいて、「あのー、この辺ででっげー牛つっだやづみねがっだが?(関東方言:あのー、この辺ででっかい牛連れたやつ見なかったか?)」という感じに、セリフを若干変更し、岩手出身の後輩の発音指導で及第点をもらって、準備万端!と思っていたのですが…鬼四郎が出てくる舞台は武蔵国ですので、バリバリの岩手方言だとやっぱりおかしいですよね。というわけで、色々迷走しましたが、最終的には「標準語にちょびっと方言が混ざっている落ち着きのないキャラ」になったのでした。とはいえ、方言指導がなければあの微妙に訛った感じは出せなかったと思います。修論で忙しい中、発音指導に巻き込んだ後輩にもこの場を借りてお礼申し上げます。

 

また、今回も小道具スタッフとして八犬士の武器制作も行いました。基本的には前回からの使いまわしが多かったのですが、主要キャラの武器では、荘助の小篠・落葉、大角の剣は新しく作りました。急ぎで作ったこともあり、近くで見ると粗が目立つ部分もありましたが、他の役者・スタッフの皆様が作り上げてくれた舞台の雰囲気のおかげで、実物以上に武器が映えたと思っています。本当にありがとうございました。

 

それでは、長くなってしまいましたので、この辺にしておきます。

 

今回、ようやく八犬士がもう少しで全員揃うというところまで来ましたが、次回は親兵衛くんも合流して全員揃うのか?

続きが気になる方は、引き続き八犬伝シリーズを応援していただけますと幸いです!

最後になりますが、今回の公演を作り上げてくれた関係者の皆様、応援してくださったすべての方々に心より御礼申し上げます。