みんな違ってみんな良い | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
ごきげんよう!

この度、八田王女役・雌鳥王女役・磐之媛大后役の三役を演じました筒井です。



キシャ初の朗読劇、いかがだったでしょうか?


オンライン稽古になったり、直前まで公演ができるかわからなかったり、配信公演も作ったり、色々と今までにない展開で進んできた今回の公演ですが、無事に幕を上げて最後まで走り切ることができたのも、ひとえに公演を支えてくださった皆さま、そしてご来場くださったお客様のおかげです。

また配信公演をご覧いただいている皆様も、本当にありがとうございます。



もしかしたら、生で演劇を観る、すぐそこで演技してる人の息遣いを感じるということが、今後とても贅沢なことになっていくのかも知れないし、そうじゃないかも知れないけれど、とにかく今回の公演ができたことは本当に役者としては贅沢なことだった!と思います。


一つの公演で三役を演じたこともとても贅沢な経験でした。


20日午後の部の磐之媛は普段の自分に一番近い感じ()で、割と自然体で演じてみました。

でも可愛くって言われたので多少可愛さを足しているつもりです。

大王が千野サザキだったので、テンポ早いところも呼吸を合わせられてやりやすかったですね。

それから一つ言っておきますが、この回のラストの玲子さん(八田王女)は本当に怖かったです。


20日夜の部に演じた雌鳥王女は、(隼別を落とさなきゃいけないこともあり)とにかく!一番!苦戦しました。

他の2人の雌鳥と方向性が被らないようにと思い、最初はちょうどその頃読んでいた菊池寛の『真珠夫人』に影響を受けて復讐心強め、キャラも大人っぽい方向で作っていました。

でもその内にだんだん、やっぱり雌鳥の魅力は純粋で一途な子供っぽさにあるのかなぁ〜と思って、精神年齢を少し落とした感じに落ち着きました。

本番はちゃんと隼別と恋ができた手応えを感じられたと思います。


21日の昼の部と午後の部に演じた八田王女は初演の時に演じた役でした。

特に大きく演じ方を変えてもいないので、やはり履き慣れた靴を履くように演じられました。()


それでも昼の部では大王が吉田サザキだったので少し当たりが弱めになったり、午後の部の東サザキの時はグサグサ刺しに行ったり、(妹が強かったりサイコパスだったり、)皆さんが言うように、相手役によって同じ役でも演じ方が変わるもんだなぁというのをガッツリと経験させてもらいました。


個人的に私は今まで、あまり相手役に左右されずに、相手役が誰でもどんなコンディションでも、自分の演技を寸分も変えないことをモットーにしてきたようなところがありました。

しかし、今回は同じ公演の中で同じ役を違う人がそれぞれ演じ、しかもそれを相手役として目の当たりにしたりするわけです。

嫌でも役者によるキャラクターや演じ方の違いが浮き彫りになり、お互いが台詞一つひとつの機微を鋭くキャッチできるようになったことが、これほどまでに各々の役が深まり、各回が全く違うものになった理由ではないかと思います。


ちなみに21日午後の部は初演のオリジナルキャストに最も近いキャスティングだったのですが、最後に大王(東サザキ)に「吾を恨むか?」と聞かれた時に、思わず心の底から笑いが込み上げて来るくらい恍惚としてしまったのも初めての感覚でした。

気持ちよかったなぁ



ちょっと長くなっちゃいましたが、そんなわけで今回は再演で朗読劇ということもあり、役を演じるということについてじっくり取り組んだ結果、役者としてきっと何かが深まったんじゃないかと勝手に思っています。


12月の『花にあらず』では、また一層成長した姿をお見せできるように頑張ります!

『花にあらず』はキシャの中でも個人的に1,2を争うくらい大好きな脚本なので、ぜひ観ていただけたら嬉しいです…!


何より、元気に劇場で皆さまとお会いできることを祈りつつ。

ごきげんよう!