スナフキンを胸に | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
ご来場、そしてご視聴いただきありがとうございます。
大鷦鷯、襲津彦、大山守を演じましたひがしです。

社会情勢的に対面稽古が困難な中、さらにお客様を迎えての公演が危ぶまれる中、何とか無事公演を終えることが出来ました。
まだまだ収束までには時間がかかるでしょうが、(熱中症に気をつけつつ)マスクの着用、細かな手洗い、バランスの取れた食生活、十分な睡眠、という地道な取り組みをコツコツ続けていきたいですね。

さて、今回の公演では三役やらせていただきました。それぞれについて感想をば。

大鷦鷯
初演で演じており、配役も初演に近い形でした。違いは嫁家族。襲津彦は前より縦長になり、磐之媛は何か可愛くなってました。
いつ爆発するか分からない爆弾のような嫁…!って感じで(嫌いではないけど)疲弊感がものすごかった初演の磐之媛。寄り添ってくれる八田に本気で縋りたくなってました。
今回は磐之媛からの言葉に棘を感じないというか、拗ね感が強かったので振り回されつつも滲み出る可愛い嫁感。稚郎子の話という地雷を踏まなければ…と悔やまずにはいられないですね。まぁ踏まずにはいられないのが磐之媛なんだろうけど。
大鷦鷯は演じていてかなりキツい役ではありますが、稚郎子を手にかけた後はもう感情を出し尽くして脱け殻のようになっているので、マラソンを走りきった後というのか、妙な解放感?浮遊感?のようなものを得られてちょっと気持ち良いです。今回も気持ちよかったです。

襲津彦
初演のスナフキンのような襲津彦を胸に…というのはほぼ冗談ですが、あのスナフキン風帽子のインパクトはものすごく、引っ張られすぎないように逆に意識してはいました。
他の役よりも言葉を相手にどう響かせるかを意識して演じていました。襲津彦はそこら辺のセルフプロデュースを怠らないイメージです。笑顔の練習とかもきっとしてました。わざとらしいとか言われたけど。
とりあえず娘と一緒なら多分何でも出来ると思うんだ。あと隼別とは雌鳥のことがなければきっとうまくやれてた。そんな配役でしたね。演じていてとても楽しかったです。

大山守
常に苛立ってる人。
話の展開上、激昂してる場面だけ詰め込まれてる感がすごいですが、母の一族のものだった!って辺りとか家族のことも含めて誇りを持ってたんだろうなーって感じで、誇り高く生きてたのに実の父と弟に踏みにじられたらそれはもう戦争だろうが!ってなりますよね。
ただ、平常時の大山守はもうちょっと兄貴として慕われうる面もあったと思うんですよ。ほら、なんか宴席とかで鍋の具を入れる順番とかタイミングとかバッチリ仕切ってくれそうじゃないですか?え、ウザイだけ?そんなー。

というわけで、一つの役を一回ずつ演じたので同じ役を違う相手と、という機会はなかったですが、横で聞いてるだけでも「うわ、これ同じ役なの?場面なの?」って思うくらい毎回違う「聖の帝」が繰り広げられていて、新鮮な体験でした。

それでは、次回お会いできる日を楽しみにしつつ、目下のところ堤中納言物語が配信中&更新中ですので、安全に見れるこちらをご覧いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。