わたし信西さん。いま土に埋まった箱の中にいるの。 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

「保元物語」にご来場くださった皆様、誠にありがとうございました。

信西を演じさせていただきましたひがしです。

兄と弟、父と子、叔父と甥――武士も貴族も入り乱れ、野望と策謀が渦巻く「保元物語」の世界、お楽しみいただけたでしょうか。

歴史の転換点、個々人の思惑が大きなうねりに押しつぶされ、時代そのものが塗り替えられていく、その臨場感を味わっていただけたならば幸いです。

 

それはさておき、最近娘がプリキュアを演じることに目覚めておりまして、今日も元気にスターパンチ。お父さんはパンチを喰らってノットレーイしないといけないわけですね。ただうちのプリキュア、K.Oされた敵にも追い討ちしかけてくるのでオーバーキルになりがち。優しい心を忘れないで。

 

それにしても、子どもが「演じる」ことを傍で見るのは興味深いものです。生まれてからこのかた、目に見える全てのものを学習材料とする中で、「模倣」というのは娘にとって自己を確立していくための手段であったと思います。

しかし今、娘はキュアスターになるために模倣をしているわけではありません。終わる時に「キュアスター終わり!ミルキーもお母さんに戻って!」という辺り、自分とは別の存在であると認識した上で「キュアスター」を「演じて」います。

いつからその線引きが出来るようになったのかは分かりませんが、成長したなぁという感慨と、演じることを楽しんでくれていることへの喜びを感じる今日この頃です。人前に出ると貝にしかなれないので、共演とかは大分遠い話かなぁと思いますが。

 

さて、演じることの楽しさと言えば(強引な話題の引き戻し)、信西は非常に楽しい役柄でありました。

語りが多い役どころということもあり、年号が頭に入ってこないことに脳の劣化を感じたりもしましたが、策謀を巡らせてグイグイと事を推し進めることの出来る立場というのは気持ちが良いものですね。

何せ横に最高権力者がいるわけですし。面倒なことは全部任せるわとぶん投げられてるわけですし。火攻め、斬首、流罪、新院の別荘設計とガンガンいこうぜ状態で突き進む楽しさは格別でした。

最期のあっけなさまで含めて強烈な印象を与える人物ですので、皆様の「信西」像を壊したりはしまいかと内心ビクビクしたりもしておりましたが、ありがたいことにイメージ通りだったと評価していただける声を聞くことができ、嬉しく思っております。

改めましてご来場いただいた皆様、そして共演者・スタッフの皆様に御礼申し上げます。

 

それでは次回は来年の一月。『南総里見八犬伝の話が(もうちょっとだけ)したい!』でお会いできるのを楽しみにしております。