語り尽くせない感謝を | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社

ごきげんよう!

この度、天女役を務めました筒井です。


『夜の寝覚』公演にお越しくださった皆様、また応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!!


思い返せば一年近く前、前回公演『後三年記』の公演期間中に、作演から「いやぁ、語り手ホント大変…。次は(語り手)くみこね!天女!」と言われた時のことをよく覚えています。

本公演で脚本が上がる前に役が決まっているのは初めてだったので、「一体どんな役だろうか?」とワクワクしながら脚本の完成を待っていました。

その時はまさかこんな重労働とは…笑


2時間の劇でほぼ出突っ張り(実は本番は3回くらい引っ込んでいます)、しかもずっと演じ通しというのはこれほどスタミナを使うものか、と驚愕しました。

稽古場で通し稽古の後はぐでーっと横になりしばらく機能停止したものです。笑

あと、セリフは本当に本番前日まで覚えられなかったですね…。いつもはセリフ覚えの早さに自信があったのですが、こんなこと初めてで、語り手の恐ろしさを実感しました。

でも苦労も責任も多かった分、今までにないほど試行錯誤を繰り返し、一生懸命に取り組んだこの役・この公演は、とても愛着深いものになりました。


それに、色んなキャラクターを演じるのは役者の醍醐味ですから、一つの役で延べ8人くらい(数えた)のキャラクターを演じられたという点でも楽しかったですね!

個人的には大皇の宮の口の軽い女房を演じるのが楽しかったです。笑



原作を読んだ皆様は知っての通り、天女という役は原作では冒頭にしか出てきません。

その天女が語り手として物語を見守り、時に入り込み干渉し、物語を操るという設定は完全なキシャオリジナルなわけです。

また、原作は中間と最後の部分が大きくなくなってしまっている、「欠巻部」を抱えた作品です。

その欠巻部についてパンフで記事を担当させてもらったのですが、原作や欠巻部の研究について知れば知るほど、脚本の妙、天女の立ち位置の面白さを感じ、天女を演じることのモチベーションが高まっていきました。

この役を通じて、皆様に『夜の寝覚』を語り尽くせたこと、とても誇らしく嬉しく思います。



皆様もよろしければぜひこの機会に『夜の寝覚』の原作を手に取ってみてはいかがでしょうか。

いえ、原作でなくとも、図書館でふと思い出してあらすじをざっと読むだけでも、なんならウィキ◯ディアを眺めるだけでも。

こんな日本古典文学があるんだよ、ってことを知ってもらい、心に留めてもらうだけでも、私たちにとっては嬉しい限りです。

そして願わくば、この舞台のことも一緒に心に留めていただけたなら、こんな幸せなことはありません。


長くなりましたが、最後に、一緒に舞台を創り上げてくださったスタッフさんをはじめ、本公演に関わってくださったすべての方と、劇場に足を運んでくださった皆様に心から感謝を申し上げます。

本当に、本当に、ありがとうございました!!


さて、キシャは次の物語を語りに行くようです。

皆様と次回も劇場でお会いできることを祈りつつ、本日はこの辺で。


ごきげんよう!