8月10日 前半40分の生涯 | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
ご来場、誠にありがとうございました。
海道小太郎を演じさせて頂きました、松です。

前回出演させて頂いた「さらぬわかれ」の時とは全く異なる役で(そもそも性別が異なるのですが)、お稽古中も格好いい先輩方の後をひたすら追いかけておりました。

小太郎は奥六郡の主人に養子として迎えられ、源義家の妹を妻とします。
演出家からの指示で、源氏の者との婚姻に理解を示し、父を敬い、母に親しみの感情を、さらに、(登場してはいませんが)妻を愛することを意識していました。後継ぎとして強くあるべきだ!という事は理解しているのですが、元服したばかりの青年に出来る事は限られています。弱いところを見せてはいけないと強がっている。しかし同時に、自分の限界にも気がついている。そのバランスも課題だったように思います。

そして、昼・夜と両方ご覧頂いたお客様は気がつかれたでしょうか。昼の部の殺陣シーンで衣装のスカーフが取れるという事故が発生。「絶対に落としたくない..!!」とスカーフを巻き込んでの殺陣でした。夜の部では、舞台袖で母上に結び直して頂き、無事に家衡に喉元を突きつけられたのです。

舞台上にいた時間は前半40分程度でしたので、楽屋に戻り、舞台袖へ向かう義光殿をお見送りしていました。
これが私に出来るただ一つの事!と希望に満ち溢れたまま舞台を去れたので、個人的には有意義な人生でした。(やはりナレーションで殺されるんですけれどね。)

スタッフの皆様、私の細すぎる声問題の解決に手を差し伸べてくださったキャストの皆様、そして、劇場まで足を運んで下さったお客様。心より感謝申し上げます。

客席で観ていた陸奥の世界観に登場する事が出来て、幸せです。いつになるかはわかりませんが、また皆様とお会いできますように。