12月5日 稽古始め | 劇団 貴社の記者は汽車で帰社
『曾我物語』記念すべき稽古始めの日記を担当させていただきます、箱王です。
どんな役かと申しますと、本芝居の主人公・五郎の幼少時代になります。

本日の稽古始め、師走ということもあり、学生、社会人ともに忙しい時期でしたが総勢九名という、充実した人数で走りだせる次第と相成りました。ちなみに顔ぶれは、伊東祐親、工藤祐経、和田義盛、源頼朝、虎御前、万劫、私箱王、そして音響さん、照明さんです。
そのうち祐親、義盛は本公演で客演いただく三人のうちの二人なのですが、実はこのお二人、キシャ内で一番若い平成っ子になるという……。昭和生まれの箱王としては、年齢差に恐れおののいてしまいます。まあ、芝居の中では私が最年少なんですけれどね!


さて、本公演は今までの平安王朝物とは一転、武士の世界の物語ですので、殺陣があります。(以前、貴族で王族の血を引く、どっかの在五が殺陣をしていたのはご愛敬です)
本日は広い和室が稽古場として確保できたので、まずは殺陣の稽古からはいりました。
体をほぐし、新しい二人は基礎を覚えるため、以前いた面子は復習のために、殺陣に使用する基本の型をひとつずつ丁寧にさらっていきます。最初ですし、わりとじっくり時間をかけて確認し、動いたのではないでしょうか。その後、一対三の軽い組み手を行って殺陣の稽古は終了。
こうして積み重ねていく基礎が、どんな大立ち回りになるのか、今から楽しみですね。

その後、発声練習。今回は歌舞伎のようなちょっと大げさな芝居を目指すそうなので、声の出し方がより一層重要になります。声が響きにくい小屋ですしね。
そしていよいよ台本読みです。冒頭部分に出る役者がほぼ揃っていたので、冒頭部分の読みから始めたのですが……しょっぱなからテンション高っ! そしてなんか暑苦しい!! という、今までにない異様な空気が稽古場に満ち溢れました。
これが、武士の世界か……。
今まで王朝世界にばかり入り浸り、管弦の宴だとか、和歌だとか雅やかに過ごしてきた身には衝撃的な空気でした。ですが、新境地開拓――楽しくなりそうです。


箱王としては少年らしい声質が分からず、少々を苦戦を強いられているので、早く的確な声の出し方を会得して、台詞の言い回しなどにも気を配れるようになりたいですね。
「なぜ成長してしまったのか……」と見ている方々に思っていただける、凛々しく可愛い少年になりたいものです。



そんなキシャの新しい一面が花開きそうな予感を早くも感じさせる初稽古でありました。