中国を紹介する映像では音楽に問題がある場合が多い | 如月隼人のブログ

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NHKでしばらく前に放送された
「百花繚乱!麺道をゆく ~中国・黄土高原~」
という番組を録画しておいて
昨晩に日本酒をちびりちびり(ぐびりぐびり?)とやりながら
ゆっくりと鑑賞したわけです

内容そのものは
とてもよかった
「麺の本場」である陝西省と山西省を丹念に取材して
さまざまな麺づくりや食べ方を紹介していた
初めて知った情報も多かった

ただなあ
とても気になった面がある
陝西省とか山西省の風景を紹介した場面で
背後に流れる音楽
すべて二胡の曲なのですねえ

中国では二胡と同系統の楽器が「胡琴」と呼ばれていて
全国いたるところに
この胡琴類の楽器がある

二胡は長江下流沿岸(江南地方)で使われていた胡琴をベースにして
近代以降に整理改良して完成させた楽器です

この番組で使われた音楽は
どれも二胡が独奏で
曲の雰囲気も江南地方の音楽

まあ
日本人はそういう演奏を聴けば
中国の雰囲気を感じると判断しての選曲だったのでしょうけどね

ただなあ

例えば日本で言えば
秋田のきりたんぽ鍋を紹介する映像で
背後に博多の黒田節のメロディーが流れるようなもの

あるいは
ドイツ料理を紹介する映像で
背後にイタリアのカンツォーネが流れるようなもの

やっぱおかしいいよなあ
陝西省と山西省は中国では「西北地方」と呼ばれていて
中国の西北地方を代表する胡琴類の楽器だったら
例えば「板胡」という楽器もある
板胡が演奏する中国西北地方の音楽は
江南地方の音楽とは
雰囲気がまるで違います

江南地方の音楽は優美な音色と旋律が特徴です
「耽美主義の音楽」と言ってもよい

一方で西北地方の音楽は
きっぱりとした雰囲気が特徴です
「表現主義の音楽」と言ってもよい


「麺動をゆく」の番組では
広大な高度高原の風景がなんども紹介されました
ただ広大なだけじゃなくて
この自然条件で生き抜いていくことは厳しかっただろう
と直感させる光景

そんな中で
人々は素晴らしい麺料理を進化させてきた
ということが番組の一つの重要なテーマだったのですから
黄土高原の自然の厳しさと
麺料理に取り組んできた人々の情熱を感じさせるなら
中国西北地方の雰囲気がある音楽を使った方が
よかった

思うのですけどねえ

日本では中国の文化を紹介する番組が
しばしば放送されているのですけど

中国の文化って地方によって違いが大きいですからねえ

なにしろ
中国の面積は960万平方キロです
欧州全体の面積は1053万平方キロですから
欧州全体にほぼ匹敵する大きさです

先ほども触れましたが
ドイツ料理を紹介する映像で
イタリアのカンツォーネの音楽は使わないだろう

中国の音楽についても
同じように認識してほしいのですけどねえ