私の好きな歌~内モンゴル・オルドス民謡「嫁ぐ娘を送る歌」 | 如月隼人のブログ

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これからぼちぼち
私の好きな歌をご紹介していこうかな
てなことを考えています

今回は内モンゴルのオルドス地方に伝わる民謡です
「嫁ぐ娘を送る歌」
とでもご紹介すればよいかな

モンゴル民謡の旋律って
一つの音と次の音の高さが大きく離れている場合が多いのです
「大跳躍」などと言うのですけど
オルドス民謡の場合には特に
かなり極端な大跳躍があります

この「嫁ぐ娘を送る歌」でも
1オクターブ以上の跳躍があります
歌手泣かせだそうです

それから
オルドス出身の歌手には
旋律中に大跳躍が出現しても
音程をピタリと決められる人が多いそうです

だいたいの場合
旋律中に大跳躍が出現すると
その部分の旋律の流れが不自然になりがちなのですけど
オルドス民謡の場合には旋律がとても自然に進行します
言い方を変えれば
大跳躍に必然性があるように感じられます

この
「娘を送る歌」は
もう少し早いテンポで歌う場合も多いのですけど
私はゆっくりと歌うのが好きなので
この動画を選びました

そうそう
モンゴル語の「オルドス」は
「宮廷の人」を意味します

チンギス・ハンが亡くなった時に
チンギス・ハンの霊廟を生前と同様に「オルド(宮廷)」と呼んだので
その霊廟を守った部族の人々を「オルドス」と呼んだそうです

もともとは現在のモンゴル国の北部にいたのですけど
昔のモンゴルは部族がなんかの都合で移動することも多く
中国の時代区分で言えば明代(1368-1644年)に南下し始めて
清代までに現在のオルドス地方に到着しました

清朝は各部族の現在の放牧地を保護しましたけど
その代わりに
定められた領域の外に移動することを
厳しく禁じました

モンゴル民族は清朝皇帝を
「草原の大ハーン」と認めて服従したのですけど
モンゴル民族が大規模な軍事行動を起こす場合には
極めて広い範囲から多くの部族が
いきなり大集結するパターンだったので
それを防止するためとされています

オルドス民謡は他の地域のモンゴル民謡とは
雰囲気がかなり違います

オルドスの部族が南下する前に
音楽の特徴が確立されていたとすれば
モンゴル北部の民謡と類似点があるのが普通だと思いますけど
オルドス民謡については
どうもそうは思えない

だから
現在のオルドス地方に定住するようになってから
発生した特徴ではないかと想像しています

それからオルドス地方には明らかに
漢族の民謡と影響を与えあった民謡カテゴリーも存在します

オルドス地方はモンゴル人がまとまって住む地域としては唯一
黄河の南側にあるので
漢族との交流が比較的多かったと考えられます