朝日新聞が、またやらかしたようだ…中国軍関連記事で“誤報” | 如月隼人のブログ

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朝日新聞が、やらかしたようだなあ。中国軍関連記事での“誤報”。デジタル版で、2月5日付で発表した記事。今現在も訂正していないということは、気づいていないんだろうなあ。

 

朝日は「中国国防省は4日夜、地上配備型の中距離弾道ミサイル迎撃システムの技術実験を同日実施したと発表した」と書いている。

 

ところが、中国ではそんな発表をしていない。というか発表を誤訳した結果として誤報になったみたいだ。新華社を通じての発表には「中国境内進行了一次陸基中段反導攔截技術試験,試験達到了預期目的」と書いてある。

 

注目したいのは「中段反導攔截技術試験」の部分「反導」は「反導弾」の略記で、「導弾」とは「ミサイル」のこと。だから「反導」。「アンチミサイル」。それから「拦截」は「阻止」。だから「反導攔截技術」で、「ミサイル迎撃技術」。

 

一番の問題は「中段」の部分。朝日はこれを「中距離」と訳したのではなかろうか。ここが違う。弾道ミサイルの飛行段階は発射直後の上昇中である「ブースト段階」、大気圏外を慣性飛行している段階の「ミッドコース段階」、大気圏に再突入した最終段階の「ターミナル段階」に分けられる。

 

中国語の「中段」はこの場合、「ミッドコース段階」のこと。だから原文には、「“”中距離”弾道ミサイル」とは書いていない。

 

国防省の発表は、以下のように理解せねばならない。( )内は私の追記です。

 

「中国の境内(いわゆる中国大陸部を指す)で、ミッドコース段階のミサイル迎撃の技術試験を1度行った(1回だけ実施して成功したことを誇示しているのかもしれない)。試験は予定の目的を達成した」。

 

朝日の書き方だと、中国が試験に成功したのは「中距離弾道ミサイル」だけということになってしまうけど、原文にそういう限定はない。ということは、例えば米国本土で発射された大陸間弾道弾(ICBM)の迎撃にも対応できるという“含み”が残る。これは軍事面からは、かなり大きな違いじゃないかな。

 

なお、「導弾」は、「弾」の文字に引っ張られて「弾道ミサイル」と訳してしまうのだけど、巡航ミサイルも含む概念。中国語で「巡航ミサイル」は、「巡航導弾」で、「弾道ミサイル」は「弾道導弾」。中国語原文には「弾道導弾」とは書いていないんだけど、「弾道導弾」を「導弾」とだけ書く場合も多いし、なにより「ミッドコース段階」と明示してある以上、弾道ミサイルについての情報であるので、日本語で「弾道ミサイル」としても、誤訳とは言えないだろうなあ。(編集担当:如月隼人)