ジオマンシーカード本体には、ラテン語名が書いてあります。
「Fortuna Major(フォーチュナ・メジャー)」
「Fortuna Miner(フォーチュナ・マイナー)」
「Caput Drakonis(カプト・ドラコニス)」
「Cauda Drakonis(カウダ・ドラコニス)」等々。
カード添付の意味表と、ジオマンシー占いの本のシンボル名は、日本語です。
「大吉」
「小吉」
「竜の頭」
「竜の尾」等々。
カード名はラテン語で、意味表とテキストが日本語の理由。
ラテン語名は、カッコイイけど覚えにくい、
日本語は分かりやすい、からです。
実はこれ一見単純なようで、意外と本質的な問題なのです。
たとえば、タロットカードの名前。
タロットが日本で普及したのは、カード名が日本語に訳されているからという理由が、絶対に大きいと思うのです。
「女教皇」も「法王」も読めば意味が分かります。
でも。
「High Priestess(ハイ・プリースティス)」「Hierophant(ハイエラファント)」のままだったら?
これほどは普及はしてないと思うんです。
さらにわたしの大好きなルーン占い。
雪と氷の国の占いですが、実用的で良く当たる点はジオマンシーと似ています。
それなのにいまだに知る人ぞ知る占いで、タロットほど普及していない理由は、ルーンシンボルの共通日本語訳名がないからと思うのです。
ゲルマン読みの「フェイヒュー」、英語読みの「フェオ」。はたまた日本語の「財産」。占い師が使うのにはゲルマン読みでも英語読みでもいいのですが、一般の人は混乱してしまいますよね。
「読んで分かる名前」
これ、とても重要です。
なぜなら、占いは言葉の技だからです。
占いは、その国の人たちが話す言葉で語られるものです。喜怒哀楽や過去現在未来を「言葉で語る」ことが「占い」なのです。意味が通じる名称、言葉は、占いの本質に通じているのです。
でも、同時に、隠されて見えない神秘が尊ばれる、こともあります。
たとえば般若心経。
漢訳されているのに、最後の一文「ぎゃてい ぎゃてい hらぎゃてい はらそう ぎゃてい ぼじそわか」だけは、原語のサンスクリットのままです。聖なる呪力を持つ真言だから、あえて訳さなかったのです。
そうすることで、意味がわからない秘密の言葉という新たな意味が誕生したのです。
伝わらないことで伝わる意味。
それは、あえて俗っぽく言うならば「なんか意味わかんない言葉、カッコイイ」という感覚かもしれません。
中二病マインドがときめく言葉。
必殺技は、カタカナのほうがカッコイイのです。
カード名を告げるなら、カッコイイほうがいいのです。
ジオマンシー占いの話に戻ります。
ジオマンシーは、とても使いやすくてよく当たる、優れた占いです。
わたしはジオマンシーの本を書くときに、この占いを占い師だけのものにしては、もったいないと思いました。
ジオマンシーシンボル名はラテン語ですが、アラビア発祥の占いですからもともとはアラビア語です。
そもそも本来は、村の呪術師が使っていた、素朴な、生活に根ざした占いでした。
日本でも、普段占いをしない人にも、手軽に使ってほしいと思いました。
だから、分かりやすい日本語名を付けました。
「大吉」「小吉」「喜び」「悲しみ」など、当たり前すぎる名前にはかっこよさはないかもしれませんが、親しみを感じてくださる方もいるでしょう。
日本語名は、そのまま、シンボルの意味そのものを表しています。
カードには、ラテン名が書かれていますから、ラテン名で呼んでいただいてもいいと思います。
読み方も、並べておきますね。
ラテン語表記(読み方)『日本語名』
1・Populus(ポプラス)『人々』
2・Via(ヴィア)『道』
3・Conjunctio(コンジャンクショ)『つながり』
4・Carcer(カルサー)『拘束』
5・Fortuna Major(フォーチュナ・メジャー)『大吉』
6・Fortuna Minor(フォーチュナ・マイナー)『小吉』
7・Acquisitio(アクウイッシショ)『獲得』
8・Amissio(アミッショ)『喪失』
9・Laetitia(ラエティーシャ)『喜び』
10・Tristitia(トリステシャ)『悲しみ』
11・Puella(プエラ)『少女』
12・Puer(プエル)『少年』
13・Albus(アルブス)『白』
14・Rubeus(ルベウス)『赤』
15・Caput Draconis(カプト・ドラコニス)『竜の頭』
16・Cauda Draconis(カウダ・ドラコニス)『竜の尾』
親しみやすい日本語名でも、かっこいいラテン名でも、どちらでもお好きな方を、その時々に必要によって使い分けていただければ幸いです。
ちなみに、わたしが1番好きなジオマンシーシンボルは、フォーチュナ・マイナー『小吉』です。
ささやかで、でもかけがえのない普通の幸せ。
誰かに支えられて、自分も誰かの力になって。
そんな意味のシンボルだからです。
↓砂漠のオアシスが描かれた、夜の「小吉」
アラビアンジオマンシーカードには昼のカードと夜のカードがあります
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