枇杷は甘いかスッパイか -5ページ目

枇杷は甘いかスッパイか

遠く離れた地に住む母。その介護の喜怒哀楽。

アサコが施設から帰ってきた。
「施設の人は仕事なんだから、邪魔したらだめ。」
とヨシトが言うと、いつもの『お茶出せ』攻撃がない。
仕事なら、何も言わないのか?
これからは、施設の人はいっぱい仕事があるからすぐに帰った、ということにしよう!
とヨシトはほくそ笑む。
 
今日初めての故郷島弁を聞いた。
『がすたれ』
意味はアホの塊みたいなことらしい。
アサコは東京のことなんかは記憶が混乱しているけど、さすがに故郷島のことは覚えている。
 
 
相も変わらず、故郷島のことを話す。
ヨシトは腹が立って、
「アサコはボケている!」
(それを言っちゃあおしまいよ!)
と言ってもアサコは信じない。
茶箪笥の広告もまるで信じていない。
自分は正常だと思っている。
(珍しいこともあるもんだ、とタツオは思う。)
仕方がないことだ。
とヨシトは諦め気味。
しかしそれでもヨシトは、たとえアサコを混乱させても、本当のことを言い続けようと考える。
混乱することで、頭に刺激を与えられるのではないか、
とアサコのことを一所懸命考えるヨシトである。
 
しばらくしてから
「アサコはボケているのか?」
とヨシトが再び訊いた。
「おっだ、ボケとっとさ。」
と回答!
自分がボケていることを理解している時もある。
そういうときがあるだけでもすごい!
2019年6月、枇杷の収穫。