枇杷は甘いかスッパイか -13ページ目

枇杷は甘いかスッパイか

遠く離れた地に住む母。その介護の喜怒哀楽。

くるつ朝、スムーズに起きたが、紙パンツは満タン。
アサコの足取りはヨタヨタしながらも、トイレに連れて行った。
「タキホリアサコ、早くあいべあいべ。転ばんごとあいべ。」
とヨシトが言うと、
「おっだ、ナルシマアサコたい。」
と答える。
「タキホリアサコは?」
とヨシトが訊き返すと、
「ウマタロに叩かれた。マシ婆にこき使われた」
と答えた。
小さい頃のことは本当によく覚えている。
 
少しは慣れてきたようだが、アサコは紙パンツの上げ下ろしが下手だ。
(というより、力が入らないし、片手で体を支えているから、片手で上げ下ろしは難しかろう)
いつも半ケツになっている。手を洗う時、ヨシトが後ろから紙パンツを腰までズリ揚げる。
前につんのめりそうになるアサコを見て、ヨシトは笑っている。
 

息子に紙パンツを交換してもらい、涙を流していた。
アサコが、
「ヨシトがずっとここばおるけん、アイミさんに悪かとね。」
と唐突に言った。
「お父さんが迎えに来んとよ。」
とアサコが言うので、ヨシトがいつもの通り
「わがままな奥さんを迎えに来ない。」
とふざけて回答すると、
「わっどんは、今頃わがままと知ったとか。」
とアサコが切り返す。
こんな回答ができるのも、まだまだ脳力がある証拠だな、とヨシトは笑った。
 
アサコは元気に施設に戻っていった。
 
2018年8月、施設にてアサコとその息子、その嫁、孫