病室から愛を込めてボイトレのお話ーその15 | 桐ヶ谷仁 の Wonderful Voice

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キリガヤ・メソッド 主宰 ボイストレーナー 桐ヶ谷仁のオフィシャルブログです。

おはようございます。

今日も元気に目覚めました。

入院して39日目になりますが、毎日同じ部屋、同じ院内にいると、「どれほど時間が経ったのか良く分からない」というのが正直なところです。

身体はどこの痛みもなく快調そのもので、本当にステロイドって凄いです。

うまく付き合いたい薬ですね。

 

病室の一角がオフィスになり、Mac相手に音楽仕事三昧で退屈することもなく過ごしています。

おそらく毎週ボイトレに通ってきてくださっていた生徒さんよりも、時間の流れをずっと短く感じているのではないかと思います。

とにかく復帰までもう少しです、引き続き応援よろしくお願いします。

 

ということでボイトレTips参ります。

 

前回は歌詞の内容と構成を理解して、そこから曲を読みとることでより説得力のあるボーカルに繋げていくというお話をしましたが、今日のTipsは「声」のお話をちょっと違う角度からお送りします。

 

みなさんは歌ものの音楽を聴くときに「歌もの」って変な言い方だけどインストじゃなくてっていう意味ですが、良い意味でまず何が一番耳(心)に引っかかりますか? 当然ボーカルですよね!

 

昔々、バーミリオンをリリースした頃、杉山清貴が大ヒットしてたんです。

それで何人かの彼のファンに聞いてみたんです。

ファンはほとんど女性です。

男性が車に杉山清貴のカセットを用意してある場合は彼女を乗せたとき用だそうで(笑)。

 

それにしても「なんでこんなに売れてるんだろう?」というのが当時の僕の正直な気持ちでした。

同じような歌謡POPは他にもいろいろあったし、それらが杉山清貴と比べて別に劣っているわけでもないし、確かに林哲司の曲には今までの歌謡曲にはない品の良さを感じていて僕も好きでしたが、売れっ子作曲家になった林哲司は当然、他のシンガーにも曲提供してますから、そういう意味での条件は杉山清貴と同じです。

ビジュアルでというタイプでもなさそうだし。

そんな僕の疑問に対してファンの女性たちの答えは一様に「声がイイいのよねー」でした。

当時の彼女たちを虜にしていたのは、詞曲の前に彼の「声」そのものだったんです。

 

物理的にはヒトも他のものと同じように一つのエネルギー体です。

乱暴にざっくり言えばエネルギーは振動です。

ヒトはそれぞれ固有の振動数を持ったエネルギー体と言えます。

ちょっとスピーカーをイメージしてください。

ボリュームを上げると円錐形のコーン紙が震えているのが分かりますよね。

例えばCDから取り込まれたデータがアンプで電気エネルギーに変換され、その電気エネルギーがスピーカーのコーン紙を振動させることで再び空気を振動させて音になります。

コーン紙の振動は空気を伝わってヒトの鼓膜を振動させます。

それを僕たちは音楽として聞いている訳です。

おいおい、何が言いたいんだ?と言われそうですが、重要なのはここから先です。

 

ヒトはそれぞれ固有のエネルギー体であり、エネルギーは振動です。

ヒトのエネルギー振動は先ほど説明したスピーカーのような装置があれば空気を伝わって他者に届きます。

ここまでの話でピンときた人は鋭い!ヒトの身体のパーツでスピーカーの役目をしているのが声帯なんです。

声帯が振動することで音(声)が発せられます。

あなたの声帯の振動はあなたのエネルギーの振動です。

つまり声を出すということは、それだけで「あなたそのもの」を他者に伝えていることになるのです。

 

あー、話が杉山清貴になかなか戻れない(笑)

杉山清貴の声は当時の女性たちの心を魅了していました。

その歌声は彼自身の振動エネルギーです。

つまり歌を聴いている間、ファンの彼女たちは「彼そのもを受け入れていた」ということになります。

当時の男たちにとっては「敵わんやっちゃなー」ですよね、これは。

 

さて、話はさらに深層へと向かいます。

ランダム選曲で聞いているイヤホンからはバリー・マニロウの「The Old Songs」がかかっています。

なんていい曲なんだろう!(^-^)

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さて、男女の間では女性の方が相手の声にこだわりを持ちます。

これははっきり言い切れます(^-^)

ヒトは生命体の本能として種の存続欲求があります。

子孫を残していくという欲求です。

 

ちょっとソフトに例えれば男は種子で女は畑です。

男は種子をたくさん持っています、常に体内で製造している訳ですから。

その種子はできるだけたくさんの畑に蒔いた方が子孫を残すために効率的ですね。

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で、たくさん種まきをすればいいのです。

その中から一つでも二つでも優秀な子孫が出来れば大成功な訳です。

だから本能的に相手を厳選することより、たくさんの畑に種まきをしたいのです。

僕は浮気を肯定しませんが、その欲求は本能であるとは思います。

 

さて、女性はどうでしょう。

女性は畑です、畑は一つです。

たった一つの大切な畑ですから最良の種子を求めます。

だから相手を厳選するのです。

どうやって厳選しているのか?

そうです「声」です。

本能的に声でその「人となり」を感知しているのです。

それが自分の最良の相手を厳選する方法の一つだということを生まれながらに知っているのです。

それが「あの人の声が好き」とか「いい声ですねー」なんて発言になるのです。

でも「声はその人そのもの」ですから、その選択方法は間違ってないのです。

間違うはずはないですよね、本能的行動ですから。

 

ということで本日の結論です。

正しい発声で声帯をしっかり振動させれば、その「声」だけであなたの存在を他者に伝えることが出来ます。

だから僕は「気持ちがあれば言わなくても分かる」っていうのは、ぜーんぜんダメだと思います。

気持ちを持って「声」にしなければダメです。

特に女性に対してはね (^-^)

それではまた。次のTipsをお楽しみに。