おはようございます。
ブログのアップが遅れてすみません。
大丈夫です、生きてます、元気です。
お陰さまでステロイド剤の減量が進み、本日からプレドニンが30mgになりました。
通常、ヒトが作り出すステロイド量が5mg/1dayということですから、まだ6倍も服用していることになりますが、入院当初は60mgからスタートしたのですから、半分まできたということでまずはメデタシ、メシデタシです。
血小板数が下がっていて医師チームが慎重にステロイドの減量スピードを1週間ほど緩やかにしたので退院がのびましたが、この血小板数の現象は他に服用しているバクトラミンという抗菌剤の影響であって、この病気のせいではなさそうだという見解に至り、今日からステロイドが30mgに減量された訳です。
免疫抑制剤を投与しているので、そう例の1本10万円のヤツですが、この免疫抑制剤で体内で暴れている自己免疫を抑えて山火事を鎮めているので本人はえらく元気なのですが、外部からの感染をブロックする免疫も抑えられてしまうわけで、感染予防のために抗菌剤を服用するわけです。
この抗菌剤は僕の場合、血小板に副作用が出るので別の抗菌剤を試すことになるようですが、まあ、せめぎ合いな訳なんですね、何せ難病ですから(^-^)
このまま順調に行けばあと1週間ほどで退院となります。
ということで、まずは近況報告まで。
ご心配くださっている皆さま、本当にありがとうございます。
さて、予告していた作詞、歌詞のTipsです。
なぜ、ボイトレ、ボーカルのブログで歌詞の話なの?
そう、疑問を持つことが大事です、疑問を持つから成長するのです。
子供が「なんで?どうして?これ何?」って成長していくように、大人になっても成長できます。
1986年の10月、僕はマイカという松任谷正隆氏が創った音楽スクールで創立メンバーみたいな立場で作詞、作曲、ボーカルなど、全てのコースを担当することになりました。
シンガーソングライターは作詞、作曲、ボーカル、全部やる訳ですから講師を頼むには好都合な人材です。
初めのオファーのとき僕は「スタジオコーラスの仕事が入ってこない日曜日ならお手伝いをしても良いですよ」的な話だったんですが、生徒募集をかけたらすごい数の入学申し込みがあり、予定はガラッと変わって行きました。
スタートした時のレギュラー講師は松任谷氏と僕ともう一人のミュージシャンの3人だけでした。
松任谷氏は編曲コースを担当してましたが、そのうち飽きたのか(笑)じきに他の講師がやって来てゲスト講師のようになってました。大学病院の教授回診みたいな(笑)
レッスンカリキュラムは自分たちで構築します。
今日は作詞の話に絞りますが、当然作詞コースの教え方は僕のオリジナルです。
やがてそれが定着してマイカの作詞レッスンのスタイルになりました。
今はどんなふうにやっているか知りませんが。
さて、僕は曲が先にあってそれに言葉を入れていく「曲先」きょくせん、とか、きょくさき、って呼んでましたが、そのスタイルで教えていきました。
曲先に対して詞先という書き方もあります。
演歌や歌謡曲はほとんど詞が先に出来ていて、それにメロディをつけて行きます。
ちなみにユーミンは曲先です。
ユーミンがメロディ作り、それを松任谷氏がアレンジをします。
アレンジされることでそのメロディが明快なイメージを持ちます。
ここからそのイメージで歌詞を書き始めるんですよ。
大まかなネタはあるかも知れませんし、入れたい言葉とメロディが決まっている場合もあるでしょうが、基本的にはメロディとアレンジされたサウンドのイメージで歌詞を構築していくのです。
僕は松任谷正隆の編曲が好きです。
それは歌詞が湧き上がって来るくらいの情感溢れるサウンドを作り出すからなんですね。
僕の場合は「My Love for YOU」と「JIN」は歌詞と曲を同時進行で作りました。
「Windy」と「VERMILION」は曲先です。
そういうふうに聞くと同じ桐ヶ谷仁のアルバムでも両者の違いがわかって面白いと思います。
ちなみに曲先の利点は歌詞のリズムや音数(文字数)に左右されないので自由にメロディが作れます。
その結果、メロディだけ聞いても説得力のある良い曲が作りやすくなります。
僕は天才なのでどちらでもイケます、ムフフ。
この曲先の作詞スタイルをレッスンに選んだ理由には実は別の重要な狙いがありました。
作詞を習いたいと受講に来る人の殆どは作曲などしない、あるいは出来ない人です。
楽器も弾かない。それこそ小学校で習う基本の楽典も忘れちゃっている人が殆どです。
でも歌は大好き、、、そうだ!「歌詞なら書けそうだな、日本語だし。言いたいことはいっぱいあるし」ってな感じで入学して来ます。
スクールはビジネスですから事務局はどんな人も「ようこそ!」です。
さあ、音楽的な知識がない人がいきなり言いたいことを書いて、それが歌詞になると思いますか?
それはただの散文や作文です。
楽曲的な構成の整っていない文字列はメロディのつけようがありません。
でもこの段階から教えて行く訳です。
ここで考えたのが、音楽はちょっと難しいなと思っている人へ向けて「音楽の勉強をしている訳じゃないのに音楽が読めるようになるレッスン方法」です。
この音楽が「読めるようになる」というところがポイントなんです。
音楽が読めなければ作詞はできません。
実際に自分で作詞しないまでも歌詞が分かるということは音楽が読めるということになります。
音楽が読めなくて良い歌が歌えると思いますか?
だから今日のTipsは作詞、歌詞のお話なのです。
きちんと構成された曲はA-A’-B-Cというよにブロックが明快です。
このブロックごとに的確なアプローチで言葉を入れることで、それだけで、おのずとリスナーに伝わりやすい歌詞の構成が出来上がります。シンプルですね、相変わらず。
いま思うと教えることが天職なのかなと思うことが多々あります。
あの頃は歌詞、今は何と言ってもボイトレからボーカルをブラッシュアップする時にそう思います。
ボーカルは感性です、その感性を表現するためにボイトレのスキル修得が必須なのです。
感性を磨くアドバイスは出来ますが感性を教えることは他人には出来ません。
でもスキルは確実に教えることが出来ます。
もうこの考え方は33年前にすでに確立されていたことになりまが、作詞も同じやり方だった訳です。
歌詞に込めるメッセージは感性そのものです。
他人がとやかく言えるものではありません、作者の心ですから。
それを良いだ悪いだと言うのは失礼千万です。
気に入ったメッセージなら使わせて貰えば良いし、気に入らなければお返しすれば良いのです。
その部分に手を入れたがるディレクターやプロデューサーはCMソングを担当すると良いですよ。
CMソングは「その商品がいかに良いものか」ということを伝えるための詞曲を作る訳ですから。
アーティストの心が分からない人はそういう仕事だけした方がいい、これから伸びて行こうとしているアーティストのためにね。
生徒には課題曲が録音されたカセットテープが渡されます。
その課題曲は初めて聴く曲じゃなくてはダメです。
イメージの湧くサウンドでアレンジも施されていないとダメです。
もちろん良い曲でなければダメです。
その条件が揃った曲を繰り返し繰り返し聞けば歌詞のイメージが必ず湧いてきます。
でも世に出た曲にはすでに歌詞があって自由なイメージで別の歌詞を書くなんて至難の技です。
だから課題曲はすべて僕のオリジナル曲です。
作詞の課題のためにたくさん作曲しました。
あの頃のマイカの作詞コースは桐ヶ谷仁の書き下ろしの曲で作詞のレッスンをしてたんですよ、凄くないですか?と、自分で持ち上げたところで、でもユーミンも旦那も課題曲を「いい曲だね」って、いつも言ってました。
今、僕のライブで新曲として演奏している曲はその頃に作曲したものです。
その一つが今回制作中の「Depth of the Sea~永遠の夏~」です。
終わらなくなっちゃうので強引にまとめます(笑)
ボーカリストはメロディのブロック、A-A’-Bというヤツですね。それを理解しましょう。
次にブロックごとに歌詞のアプローチの違いを理解しましょう。
優れた歌詞はブロックごとにアプローチが変化しています。
だから分かりやすく、ダレない歌詞になるのです。
ブロックごとの変化というのは、すごく乱暴に説明すると、始まりのAのブロックでは舞台設定、Bのブロックではそこで何が起きているのか、そしてCのサビと呼ばれるメロディが最も盛り上がるブロックで一番言いたかった願望、つまり気持ちぶつけて行きます。
そのブロックごとの変化を理解できれば、ブロックごとのメリハリのつけ方など、どんなふうに歌っていけば良いか分かって来ます。
漫然とメロディだけ追いかけて歌っているだけではダメなんです。
Aメロは小さく、サビは大きな声で、みたいなことじゃないってことが分かれば、あなたの歌は一皮も二皮も剥けて、歌が歌を超えてあなたの心になって行きます。
ということで今回は歌詞のお話でした。次回はなんのTipsになりますか、お楽しみに。
早く退院して軽井沢へ行きたい!