ショートクランクでケイデンスは変わるのか | 桐一葉

桐一葉

美味しい肴と趣味の話

2024/04/24加筆修正

 

クランクを170㎜から165㎜に変更しました。

一般的にショートクランクに関しては

 ・回しやすくなる

 ・疲れやすくなる

 ・坂は踏みにくくなる(てこの原理的に不利)

 ・フィッティングの世界だとてこの原理は無視され、回しやすさ優先

といったことが言われています。

 

回しやすくなるのは確かだと思うのですが、回しやすいことと速くなること、ケイデンスが上がることは意味が違うので、ケイデンスに着目して調べてみました。

 

結論:変わるが、ケイデンスが上がるわけではない

 

コースは飯能の武蔵丘GCから入間川サイクリングロードの明神淵公園付近までの約18㎞。

ただし、ガーミンのGPSデータとトレーニング時間をもとに、だいたいこの辺だろう、というアバウトなデータの取り方をしています。

とはいえデータの個数は1400前後あるので、結果は大きくずれないと思っています。

 

【クランク長170㎜の条件】

ライド日: 2023/03/05 

距離条件: 走行距離 65㎞ のうち、42~60㎞の区間

データ個数: 1393個

 

【クランク長165㎜の条件】

ライド日: 2023/04/22

距離条件: 走行距離 124㎞ のうち、101~119㎞の区間

データ個数: 1402個

サドル高: +5㎜

 

【比較方法】

ケイデンス60~110の範囲で、各値が計測された回数をカウント

 

【結果と考察】

面白いのが、どちらも85前後をメインのピークとして、高回転時にさらに2つのピークがあります。おそらく自然にペダリングしていると85が一番回しやすいのだと思いますが、ケイデンスを上げた時にも、維持しやすい所があるのかもしれません。

ただ、高いケイデンスのピーク2つとも165㎜のほうが高くなっています。これはケイデンスが上がることのひとつの証拠と言っていいかもしれません。

 

50回以上となった範囲を囲ってみました。

先の折れ線グラフでもわかりますが、170㎜はケイデンス82から86の範囲が飛び抜けて多く、逆に言うと86で頭打ちになっている。つまりは回しにくいので90以上で回すのはしんどいのかもしれません。

また、回しにくいのでケイデンスが落ちたことに気づきやすいので、結果として85前後のケイデンスを維持できていると言えるかもしれません。

 

対して165㎜は79から88まで幅広く分布しています。

ある意味86で頭打ちになっていた170㎜にくらべて87から91までのカウントも多く、90前後でも回しやすいと言えるのかもしれません。しかし、回しやすいがゆえにケイデンスが下がっても気づきにくく、80付近も増えているともいえます。

そのため、ケイデンス85を中心に上下のブレが増えただけで中央値が85付近なのは変わらず、ケイデンスが上がるとは言えません。

また、90台後半以上のケイデンスもはっきり出ているところからも、全体的に170㎜よりもケイデンスはやや高くなっていると言えます。

 

【ライド中の所感】

自然とペダルを回した状態が170㎜だとケイデンス85で、ケイデンスが落ちてきたと思ったら(だいたい80辺り)ギアを軽くするようにしていました。また、ケイデンス90辺りに行くのは追い風の時が中心でした。

 

一方、165㎜にしてからは85を自然と超えていることが多く、追い風でなくても90を超えることが多いように思っています。そのため、ベースのケイデンスが90前後に上がったのかなという印象でした。データでみるとそうでもないですが。

逆に言うと170㎜の習慣で85に慣れているまま何も変えていないので、ベースのケイデンスをもう少し高くしてもいいのかもしれません。

 

【総括】

所感としてはケイデンスが上がったような気はするものの、データから見ると上がったとは言えないのではないかと思います。

データからも所感からもケイデンスは自然に少しだけ高くなったことは間違いなさそうです。

 

【1年後の感想】

1年使ってみた感想として、色々練習しないと変わらない、というのが実感です。

回しやすくなるのでスムーズに回せるケイデンスは、確かにちょっと高くなります。

ですが、スムーズに回せるケイデンスの上限が上がるだけで、それ以上の効果はありません。

つまり、ケイデンスが上がるわけではない。

速くなるわけでも、楽になるわけでも、疲れるわけでもありません。

 

効果を出すには身に着いたちょうどいいケイデンスを変える練習が必要ですし、ケイデンスが落ちたことに気づきにくいので、維持する意識がより強く必要です。

また、ペダリングが下手だとケイデンスが上がった時にスムーズなペダリングができなくなることも変わりありません。

 

さらに、ケイデンスとは関係ありませんが、ポジションの見直しも必要です。実際、170㎜の時には痛みが出なかったのに、165㎜に変えてから40㎞~70㎞あたりで膝に痛みが出るようになりました。おかげでいまだにポジションいじっています。

 

すでに体が柔らかくて練習を苦にしない常時頑張る色々やりつくした人が、より速くなるためにクランクを短くすると恩恵が受けられると思います。また、フィッティングサービスにポンとお金を出せる人や、ポジションをいじる試行錯誤が楽しい人にはいいかもしれません。

 

ですが一般人にとっては、今のクランク長で困っていないなら、クランクやフィッティングに改めてお金をかけるより、股関節のストレッチやダイエットしてお腹を引っ込めるほうが安上がりでいいんじゃないかなと思います。