この話は大体の人が「今ならディスクのほうがいいじゃないの?だってディスク化の流れだし」という結論になることが多いのですが。
私は明確に「レースで上位入賞を狙わないならリムブレーキがいい」だと思っています。
なぜかを、制動力、メンテナンス、輪行の3点で整理してみようかと。
【制動力】
☆ディスクのいい所
軽い力でよくきく
雨の日でもきく
★ディスクの悪い所
うるさい
☆リムのいい所
細かいコントロールが効く
音が静か
★リムの悪い所
雨の日は効きが悪い
ディスクに比べれば力がかかる
よく言われる「ディスクのほうが制動力が高い」という表現は、ほぼ間違っています。「制動力が高い」が意味するのは、「雨の場合は」あるいは「ディスクのほうが軽い力で効く」と言っているにすぎません。
なぜならばリムブレーキでもホイールを簡単にロックさせるだけの力があり、晴れの場合は車体が軽く速度が遅い自転車では、シューや素材の違いは誤差でしかないからです。
一方で、例えばブレーキを1の力で握ったときのブレーキング力を、仮にディスクが1、リムが0.8だとします。
ブレーキ力4~5の間で握る力を調整する場合、ディスクは握る力が4~5、リムは5~6.25の間で調整することになります。ディスクのほうが少ない力でよいものの、レバーを握る力の調整範囲はリムのほうが広くなります。
よって、私は「ディスクのほうが軽い力で効くが、リムより繊細なコントロールが求められる」が適切なんだろうと思っています。
そんな細かいブレーキ調整しないと言われればそうかもしれないですし、あるいは慣れが解決すると言われれば、否定する気もありません。
そのためブレーキングについては軽い力で済むディスクブレーキのメリットはそこそこあるだろうと思っていますが。
が。が。が。
ディスクがイケてないのはここからです。
ディスクはシャリシャリキーキーと常に耳障りな音が鳴ることが多く、非常に耳障りです。
この辺、リムのほうが圧倒的に良いです。
【メンテナンス】
☆ディスクのいい所
パッドの減りによるクリアランス調整が不要
★ディスクの悪い所
チェーン掃除j時にローターに油分がかからないように気を使う
シャリシャリ音解消するならば、メンテ回数が増える
オイルのオイル交換(エア抜き)が面倒 or 店に頼むなら金がかかる
油分でパットが鳴き始めたら原因調査や解消がとっっっっっても手間
☆リムのいい所
ディスクに比べると気を使わなくていい
★リムの悪い所
ブレーキシューの減りに応じてクリアランス調整が必要
メンテナンスについては、ディスクは本当に気を使います。目的はキーキー音防止。
通常のキーキー音はこの動画の音です。目くじら立てるほどではないとはいえ、不愉快な音が鳴ってます。が、これくらいは良くあります。
問題はこれ。ひどい鳴きはこの動画の冒頭くらいの音です。ここまでくるとブレーキかけるのをためらいます。
ローターをつけたままチェーン掃除をしてローターに油やケミカルが付いた場合、パットが油やケミカルを吸ってひどく鳴く場合があります。こうなると、ローターの徹底洗浄とパッドの交換が必要で金と手間がかかります。しかも、店に持って行っても1回で原因を見つけられるとは限らないので、対処が間違っていればやり直しです。しかも鳴いてうるさいわブレーキ効かないわなんてこともざらです。まじでブレーキ握ってもスーッと走るので、下り坂なんて怖くて走れません。
さらに、このひどい鳴きを経験した後は、スプロケ掃除のたびにローターをホイールから外さないと安心してチェーン掃除もできません。また、ローターは絶対に油がかかることのない離れた場所に置かないといけない。
メンテナンスは本当に気を使います。
一方、リムは本当に何も考えなくていいのでとても楽です。リムに戻りたくてしょうがないです。
また、オイル交換は店でお願いすると片側2000~5000円程度の工賃です。
実際エア抜きやった身からすると5000円でも安いと思っています。逆に2000円の店は100%エアを抜いてくれるか不安になります。
なぜかというと、まず、実工数としてもなんだかんだ最低20~30分くらいはかかります。
しかもちゃんとエア抜きしようとするとメンテナンススタンドを使って数時間放置してエアを集めるなど、店の機材と空間を占有する必要があります。年収400万の人の時給がざっくり2000円なので、人件費と技術料と道具代を考えれば、3000円でもかなり良心的。逆に言うと2000円だと雑な作業されても文句言えません。店でちゃんとエア抜きしてもらおうと思うと、それなりの時間とお金が必要です。
自分でエア抜きしようと思うとメンテナンススタンドなど機材が必要になり、リムよりハードルが上がります。
【輪行】
☆ディスクのいい所
何もない、、、
★ディスクの悪い所
持ち歩くものが増える
ローターの曲がりが心配
ピストン出すぎた場合の対処が面倒
☆リムのいい所
ディスクより持ち物が少ない
★リムの悪い所
ない
ディスクになって輪行バッグがボトルケージに入らなくなりました。
かさばる要因は
ローターカバー2枚の追加
ローターガードの追加
エンド金具(で使うシャフト)の巨大化です。
まず、ローターカバーは、ローターに油分が付くのを防ぐためのカバーです。どこぞのYoutuberは靴下でいいなんて言ってましたが、ひどい鳴きを経験すると「油付いたら染むやんけ」と思ってしまいます。なのでローターカバーは必須です。
次にローターガードはローターが押されて曲がるのを防ぐプロテクターです。なくても曲がらないかもしれませんが、縦型輪行バッグの場合、腰にローターがけっこう当たるのですよね。
「ちゃんと面で当たれば曲がらない」という人もいますが、「点で当たることだってあるでしょう」と言いたくなります。
さすがにローターを曲げる工具まで輪行先まで持っていくのは大変なので、ローターガードはあったほうが安心です。
そして最後にエンド金具の巨大化。正しくはスルーアクスルを通すシャフトが太くなったことです。直径で言うと倍になりました。ただし、これによる体積の増加はいうほどではないのですが、弱り目に祟り目という感じで、地味につらいです。
~まとめ~
以上からレース志向の人がエアロ効果を狙ってディスクにするのはアリだと思いますが、ホビーライダーにとっては気を使うところが多く、あまり合わないと思っています。
販売店にとってもディスクはめんどくさいので、あまりやりたくないのが本音のようなので、当分はリムブレーキも残るでしょう。
将来も105かTiagra辺りまではリムブレーキは残るんじゃないか、な~?