認知症の中核症状について、すこしずつ世間も認識しはじめているだろうが、
レビー小体型認知症の症状はあまり多くないと言われる。
先月は、わが実家には「錦織圭」選手が寝泊まりしていた(※ 母の頭の世界の中で)。
2週間前は、俳優の「石丸幹二」さん。
彼らの写真(おもに、新聞広告に大きく記載されている写真)をテーブルの上に立てかけて、
生きた人間として接している。
ご飯を出すし、毛布も貸す。
母本人が「ごっこ」の世界の中で楽しければそれで良いのだけど、
「毎食お料理を出す」ため、そろそろ腐敗が気になる季節になってきた。
お料理は、当然「その人たちが食べるんだから」と主張する母は、下膳しないのである。
(ラップもかけず、放置)
最近のケアマネさんとの会議のテーマは「食品廃棄問題」に尽きるのである。
実家に行くたびに、忌々しい彼らの写真を持ち帰って
「もう、お客さんは帰ったよ」と言い含め、大量にお料理を出すのを止めていたのだが、
数日と空けずに、懲りずに次の人(架空の人)を招き入れる母なのだ。
今回帰省すると、私がリビングに入るやいなや、「ちょっと、挨拶して」という。
ひがしのやん。
母「最近、この人たちが来てるから」という。
なんだと、「人たち」だって?
人数が増えた様子で、リビング中にお料理のにおいが立ち込めている。
もう一人のメンバー「向井理」さんの労災のチラシがあった。
東野幸次と向井理さんそれぞれの写真の前に、お膳が用意されている。
母は、嫌らしいくらいひそやかな声で写真たちに
「さあさあ、娘がきたから早く食べてね」と勧めている!
いと にくし!
レビー小体型への対応マニュアルによると
「幻覚で実際には何もなくても、本当にそこに人がいるとか、また自分を呼ぶ声を聞いたとご本人は思っていますから、否定したり怒ったりしないでください。」
とある。
ある専門家のアドバイスによれば
「ちゃんと否定したほうがいい」とも言われる。
ところが、母の意識は自信にあふれているので、
(「そこに2人いらっしゃってるから、3人でご飯を食べるのよ!」と澄ました顔をする。)
わたしが何を言ったって聞き分けてはくれないの。
過去の“お客様”一覧は、思い出せば男性ばかりだ。
イケメンに囲まれていたい願望なんだろうか?
いとはしたなし!
めんどくさくなってきたので、
向井理くんのお膳をぐいと私の方に引き寄せて、ガツガツと完食してみせた。
ついでに、帰宅するときに「東野」の新聞は持ち帰った。
それでも、明日には違う男を引き入れるんだろう・・・・・
食事を作る能力があるだけスゴイそうだが、
腐らせる能力も甚大である!
どげんしたらよかばってん!