恋愛セオリーなんて誰が決めた 12 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。



LME名物

社長、ローリィ宝田


「おう!来たか!!相変わらず無遅刻キングだな!」

何が名物なのか、色々あるが一番分かり易いのは、この目の前の光景で一目瞭然だ。


「・・・・今は戦国ブームなんだな」

そういえば大河ドラマにハマっていたっけ。



部屋中に錦が掲げられて、本人は出陣前の陣羽織を身につけてご丁寧に刀のレプリカまで持っている。
後ろには「愛が勝つ」「相思相愛」「愛別離苦」などの旗が立てられていて最早意味不明だ。

こんな冗談を相変わらず全力でやる人なんだから

キョーコを見ると驚くというよりは、呆れるという様子から彼女も初めてでは無いのだろう。





「という訳で最上君!悪いが頼んだ!」
「は・・・・はい?えっと、何がでしょうか・・・・?」



席に着いた途端の唐突なローリィの言葉にキョーコは慌てて蓮と合流した社に説明を求める。


頼むも何も、まだ何も聞かされていない!

「何だ。まだ説明して無かったのか。」
「ええ。正式な依頼なので社長の口からと思いまして」

しれっと言う蓮に、キョーコは内心呆れた。
ここの来るまでの間、車内でその機会はあった。
あったのに、蓮はキョーコがそれを尋ねても「笑ってくれないなら言わない」と一向に教えてくれなかったのだ。
そうなると、自分も自分で意地になって「ならいいです!」とそっぽ向いてしまい・・・・



全く、思い返せば何て下らない言い合いをしてしまったのかしら・・・・


思い返して脱力していると、ローリィが「変な所で真面目な奴だな」と説明をしてくれた。


「最上君、今度蓮はある映画に出演する事が決まっていてな」
「はい・・」

その言葉にまさか、とすぐに予感がした。
いい予感・・・・ではなく、悪い予感が。

もしかしてそれって・・・


「まあ、ちょっと仕掛けというか、その役を蓮が演じている事は世間的にも共演者にも秘密にするんだ。エンドロールでも別の名前を使う。それが、カイン・ヒールという名でだ。」



やっぱり


すでに馴染みになっている名前。
顔には出さずに、本来の疑問のみを口にくる。


「・・・・・あの、何でわざわざそんな事・・・・」

「面白そうだろ?」


ニヤリと笑う姿に、何かしら・・・デジャヴ?
まあ、こんな凄みのある笑みじゃなかったけど。


「面白そう」で私とこの男の縁は繋がってしまった訳ね


「まあ、そんな訳でカインに蓮のマネージャーである社を着ける訳にはいかん。かと言って本人が役柄的にあまり共演者とコミュニケーションをとる訳にもいかん。バレるリスクも高くなるしな。」

まあ、そうよね。


私も最初カインを見て人の一人や二人殺していそうって思ったもの。
あんなんでコミュニケーションなんて相手が逃げ出しそうだわ


「という訳でだ」

「私にカインヒールのマネージャーをしろと・・・」

「スケジュールの調整とかは俺がするから、キョーコちゃん、悪いけど頼むね。」

「・・・・・・はあ」


申し訳なさそうな社さんの横にいる蓮をチラリと見る。
表向き自分を見ている穏やかな表情に、何故かプレッシャーを感じてしまう。


どうしよう・・・あまり気が乗らない




でも、でも!

これ、私が断ったらどうなるのかしら
モー子さん達にお鉢が回るのかしら

そ、それは・・・・

ダメだわ、あんな魔王に大事な友人をイケニエに出来ない!




「君にとっても演技のいい勉強になるだろ!君のラブミー部への他の大きな依頼はしない様に椹には俺から言っておこう。」


・・・・・逃げ場無し。


そうよね。ラブミー部への正式な依頼になったら断れないわよね。

「わかりました・・・」
「なるべく養成所の時間と被らない様に社には言ってあるから心配するな」
「どうも・・・・お気遣い頂きまして・・」

思わず溜め息混じりになる返答に、ローリィは何故か満足して社をみた。
その視線に社も軽く頷く。

「では、後の細かい打ち合わせはお前らでやる様に」
「わかりました。キョーコちゃん、また後で連絡するね。」

「はい」

「蓮からは?何かあるか?」



話を振られて、それまで黙っていた蓮は「そうですね・・・」と何か考えながら


「ああ、一つだけ・・・」

思い出した様な蓮の言葉に
何かしら、またしても嫌な予感しかしないわ・・・



「ちゃんと笑ってね」



ピシリ


「はい‥‥?」


「カインヒールは周囲との和なんて鑑みないからね。その分君は笑顔でいないと現場の空気が悪くなるだろ?」

いけしゃあしゃあと言う台詞は最もな事かもしれない

しれないけど・・・・!


「現場で事情を知っているのは監督だけなんだ。きっとフォローしきれない部分もあるだろうし、君がちゃんと緩衝材になってくれないと。」


確かに正論
そうでしょうけども!


「だから。ちゃんと。笑っていてね。常に。笑顔でいてくれないと。困るよ?」



わざわざ単語で区切って言うのがわざとらしい

さっきのイヤミ?!
報復?!

このイジメっ子!!


誰が笑いかけてなどやるもんですか。という決意から崩壊まで30分。
少し驚いた顔をしている社とローリィに気づく事なく、視線と意識は完全に目の前の男に向けられていた。





「返事は?」

「・・・・・・はい」


白旗が頭上にあがるのだった。



まだ話があるという社と蓮を社長室に残し、キョーコは挨拶をしてその場を後にした。

「エレベーターの所まで送るよ」という「紳士」の蓮の言葉に、半ば顔を引きつらせながら断りつつも強引についてこられる。


何を言われるのか身構えていると、エレベーターを待っている間に身をかがまれた気配と共に耳元で囁やかれた。



「ちゃんと笑顔の練習しておいてね」

「む・・・・・っ」




勝ち誇る笑みが憎たらしい。
もう、こうなったら・・・・っ!

「安心してください。完璧な笑顔で対応させて頂きます!仕事ですからっ!」


バイト時代・・・・と、過去に培った接客術をフル活用してやろうじゃない!
敦賀さんに文句を言わせる隙間も与えてやらないんだから!!


開き直り気合いを入れ直していると、何故か冷ややかに自分を見る蓮の瞳に気付いた。

・・・・・・・・・・え?

な、なに?
なんか、不機嫌?


「な、ん・・・ですか?」
「・・・・・・別に」

いえ、別にっていう態度じゃないですが・・・?
なによ、そっちのご希望通りでしょ?!


ハテナマークを飛ばすキョーコに、蓮はもう一度「何でもない」と言って、「それよりも」と話題を変えた。

「明日は20時に終わるから」

「無理です」


即答するキョーコに蓮は一瞬対応が遅れた。

間抜けにも思わず「え?」と反射的に聞き返していた。


そんな蓮の様子に気づかずに、キョーコはなんでもない事だと自分に言い聞かせながら、それでも羞恥が表に出てうっすらと頬が染まらせながら


「・・・・・・その・・・今日の・・・昼・・・・・えっと・・・来たので・・・」

「キタ?」



意味が判らず首をかしげる蓮をじろりと睨む。

なによ。隠れプレーボーイならちゃんと察してよ



「・・・・・・・・・・月のモノが・・・」


ひどく言いにくそうなキョーコの言葉にやっと蓮は意味を理解した。

と、同時に得心がいく



「ああ、だから昨夜あんなに感度がよかったのか・・・」


「は?」



思わず呟いた言葉はキョーコには意味が通じなかったらしい。

まあ、彼女らしいといえばらしいか


意味を知ったら、また顔を真っ赤にさせて叫ぶんだろうか。

想像するだけで、クスリと笑みがこぼれる。



そんな蓮をキョーコも「また、なんか変な事考えてる・・」といった顔で見てくるから、余計におかしい


「いや・・・・そっか、月初ね。今後覚えておくよ」

「は?覚えなくていいですから!そんな事」

「いや?色々有効に使えそうだし・・・」

「何がですか!」


「クスクス・・・じゃあ、取り敢えず明日は終わったら連絡を・・・」

「え?」

「え?」


打って変わって怪訝なキョーコの声に、思わず蓮も聞き返す。


「何でですか?」

「は?だから待ち合わせして・・・・」



「だから明日は出来ませんが・・・・・。何の為に会うんですか?」




他意はないのだろう。

心底不思議そうなキョーコの顔とその瞳


その言葉に



思わず蓮は言葉を失った




意識していなかったのは蓮の方だからだ



何の為・・・・・・・?



それは・・・・・・・



言葉を探して、取り敢えず口を開きかけて


「あれ?蓮まだいたのか?」


中々戻ってこない蓮の様子を見る為に、社が社長室のドアから顔を出した。

社の出現に我に帰る蓮とは対象的に、キョーコは「あ、すみません。敦賀さんにちょっと質問していました。もう大丈夫です」と笑顔を作ると、蓮にも「では、お疲れ様でした」とお辞儀をした。


あまりにもあっさりと去っていくキョーコに蓮は「ああ、うん・・・」と答えるだけが精一杯だった。










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