久遠の愛 4 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

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別に誰でもよかった


だけど


本当に誰でもよかったんじゃない

それでも




貴方だけは決して選んではいけない相手だったのね







最上邸の門をくぐって、蓮は初めて自分が息をつめていた事に気付いた。

どうやら、自覚以上に衝撃的だったらしい


全く・・・・一体何を言い出すのかと思えば・・・・・



端正な蓮の顔立ちは、貴賎を問わず女性を魅了するもので、今まで上流階級の女性たちにお金をちらつかせて迫られた事も少なくない。

特に、芸術家は愛人などの地位と引き換えにそういった後ろ盾を得る事も多いと聞く。


だが、蓮はそういった事は好まなかったし、妻を裏切る様な事をしたくなかったので、今までその手の誘いは全てかわして来ていた。


だが・・・・・先ほどの京子は・・・・



全く男を買うとか、誘うとか・・・そういう事に慣れていないのがバレバレで、馬鹿正直に正面切って「不貞をしませんか」なんて・・・・


冷や汗をかきながらも、一体どうしたのだと・・・聞くのもどうかと思ったが、他に聞きようがなくて聞き返していた。

そこで、初めて自分の発言の大胆さに気付いたみたいに真っ赤になって俯きながらも



「その・・・私・・・・夫以外の男性を知らないので・・・」



その言葉に・・・・改めて、というのもおかしいが



目の前の少女が”人妻”だとういう事に思い至った。



誰かの妻で


この無垢で純粋な少女が夫である男と閨をともにした事があるのだと思うと


一瞬脳裏にその艶めかしい想像をしてしまいそうになり、慌てて振り払った。


どんな風に乱れるのか


どんな声で啼くのか


あまりにも、そのギャップ故に想像できないからこそ、想像してしてしまいそうになったのだと




「・・・・・・それが普通だと思うけど・・・・・」


浮かんだ自分の浅ましい妄想を知られたくなくて、わざとらしく呆れた声を出すが、内心は動揺していた。

ごまかすように言葉を重ねる


「それに俺は妻が大事だから・・・・」



京子は一瞬目を見張って



「そうですよね・・・・・すみません、変なことを言いました・・・・忘れてください」



小さくつぶやいた声が、なぜか妙に心に残った。






貴族の主催する茶会や宴に演奏で呼ばれる事も多い蓮にとって、貴族の男が妻以外の女性と関係を持つことが常だという事は知っていた。

あの時の京子の様子を見て、もしかして京子の夫もそうなのだろか・・・と、ふと思った。


もしかして、それで自分も・・・・と思ったのか?



だとしたら・・・・それは寂しいことではないだろうか




そこまで考えて、いや、それは別に自分には関係のないことか・・・と我に返ったが、同時に大事なことを思い出してしまった。


「しまった、本を返すのを忘れていた」


綾が京子に借りていた本だ。

あの京子の言葉の衝撃ですっかり忘れていたが、自分にとっては高価なものであるだけに、このまま忘れてもって帰るのも気持ち悪い。


幸い、京子の不調でレッスンはずっと早く終わったので戻る時間はある。



「仕方ないか・・・・」



正直先ほどの今で気が進まないが、蓮は元来た道を戻り始めた。



晴天は・・・・・・・少し曇り始めていた。






なんで・・・・・敦賀先生にあんなこと言ってしまったんだろう・・・・


先生には奥様がいることも、その奥様を大事にしていることを知っていたハズなのに


いつも奥さんのために本を借りていく蓮の姿を思い出す。

「妻が喜んでいたよ」と、自分の事のように話す姿を


先生はとても素敵な方で・・・・尊敬していた。

なのに、なぜかあの時・・・・「この人なら」って・・・・思ってしまって・・・・・



恥ずかし・・・・先生きっと呆れてしまったわよね・・・


だが、あの日社交界でも有名な夫人に教えてもらった事



ほんの少しの希望


ほんの少しの背徳感


そして、それよりも少しだけ多い好奇心


聞いたときは「ありえない」って思ったのに、本当は試してみたくて、賭けてみたくて、ずっと脳裏から離れなかった



「このあたり・・・・よね・・・・」



一人、共もつけずに、車も使わずに辿りついた一角はその夫人に教えてもらった場所だった。

本当は、行くのなら紹介をすると言われたのだが、なんとなく恥ずかしいし急に思い立って来ただけに計画性などまるでなかった。


ただ、蓮に口に出してしまった羞恥心と、口に出してしまったが故の心についた火


蓮が帰ったあと、何かに追い立てられるみたいに屋敷を抜け出していた


後になって思えば、この心の中に生まれたものを上書きしてもらいたかったのかもしれない

そして、意地になっていた分ただ来ただけで本当にそこに入る覚悟も実はなかったのだ




「こら、おじょーちゃん。一人でこんなところ危ないだろ?家は?送っていこうか?」


いかにも怪しい雰囲気の男に声をかけられ、慌てて逃げ出した。

まだ日が落ちる直前の雰囲気は、街を昼の顔から夜の顔に変化する途中で、だからこそ正規の店から溢れたガラの悪い人間がたむろしていた。


本来京子にとっては縁がないところで、無知故に知らず危険な区域に足を踏み出している事さえ気づかなかった。

更に、自分の小奇麗な格好がどれだけそこの住人を刺激するのかさえも


突然肩を掴まれて、心臓がとまるかと思った。

衝撃に、息を呑む間も無く虚ろな目が飛び込んでくる。


「・・・・・アンタ・・・金持ってんのか・・・・?」

「え・・・・・あの・・・・・」


「おい、俺にもよこせよ、その嬢ちゃん、何も知らなさそうじゃねーか・・」

「綺麗な格好してんな・・・」


一人に捕まったのを合図に、ゾロゾロと2,3人の男が自分を取り囲んでいく。

困惑に周囲を見渡せば、いつの間にか自分はこんな薄暗い場所にきていたのだろうか・・・と余計に恐怖を増長させるだけだった。


「すみません・・・どいてください・・・」


「はあ?こんな所まで来て何言ってんだ?」

「はい、そうですか。なんていくと思ってんのか?」


無遠慮に自分に触れる手が気持ち悪い


先ほど、蓮の掌はあんなに熱かったのに



「いや・・・・ッ!やめて・・・ッ!!」

「アンタのその顔・・・・そそるな~・・・・」


卑下た笑みが近づいてくるのを必死で抵抗する。

衝撃とともに腰を打ったが、恐怖で立ち上がる事ができない。

どこをどう触られているのか、巨大な力に押し付けられているみたいですっかりパニックに陥っていた。


いや!!


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!



何をどう叫んでいるのかも判らなかった。

ただ、本能のまま叫び、全身で抵抗して、手足をバタつかせた


頬に衝撃が走って目がチカチカして



フッと自分を押さえつけていた力が消えた



「汚い手で触るな!!!」



聞いた事のある声と衝撃音


自分の腕を引っ張られる感覚と、「立って!」という声

呆然と、その源を凝視する



「センセ・・・・・」



汗だくの蓮が目の前にいた。

周囲には自分を襲っていた地に男達がうずくまっているのが目に入る。


「早く!!」


蹲っていた男の一人が立ち上がるのが見えて、慌てて蓮にしがみついて立ち上がり



その後は夢中で蓮に手を引かれ走っていた。



ポツ、ポツ・・・と、雨が降り始めた。





蓮の家よりは京子の屋敷が近い

雨が降り始めた状況で、蓮の家は少し遠かった。


かと言って京子は屋敷の人間に会うのを恐れた。


顔の頬は赤くなり、唇の端は切れて血が滲んでいる。

着ていた着物は泥だらけで、直したとはいえ胸元や裾が乱れている。

何より、呆然とした様子で震えて、顔面蒼白な様子は何かあったのかを悟らせるには十分だ。



絶対に気づかれる訳にはいかない


絶対に何があったかなんて知られたくない



「だけど・・・・それじゃあ・・・・」


屋敷に入るのを嫌がる京子に、蓮は途方にくれた。


放って置く訳にはいかない。

だが、雨はますます勢いを増し、すでに二人ともかなり濡れていた。


震える声で提案したのは京子だ。


「・・・・・・・・・裏に・・離れになら・・・」


いつも蓮にピアノを教えてもらう離れは、京子専用の部屋だった。

もともとは、来客中や尚が休んでいる時などにも気兼ねなくピアノの練習が出来るように作ってもらったもので、今は使われていない庭の裏口から入れば、人に会わずに離れに入る事ができる。


裏口の鍵も、離れの鍵も京子が持っていた事が幸いした。



そう、この時は



「・・・・・・・・ッ痛」

「染みる?我慢して・・・・」


予定通り人に会わずに離れに入り、暖炉の火を起こす。

濡れた手ぬぐいをそっと京子の顔にあてて、こびりついた泥や血を拭いていった。


まだショックから立ち直れていないのが、呆然とただされるだけになっている京子の表情に、心がざわついた。

まるで、何も知らない子供の様なのに、あの時男たちに囲まれて組み敷かれていた姿が脳裏から離れない。



本当に偶然だったのだ。


本を返そうと踵を返した蓮が、屋敷を抜け出した京子の姿を見つけたのは。

その様子に、なにか嫌な予感がしたのは、先ほどのとんでもない発言からだった。


放っておけばいいと思いながらも、つい追いかけてしまい


向かった先に何があるのか気づいて、必死で京子を探した。


叫び声に足を走らせれば、衝撃的な光景に怒りが湧いた



そして、その怒りは目の前の少女に向かっていった。



「・・・・・・・世間知らずにも程がある。あんな時間にあんな所へ、そんな格好で近づくなんて」

「・・・・・・・・・・・すみません・・・・」


うなだれる姿は十分に反省し、傷ついているのが判っていた。


なのに


どうしても苛立ちが抑えられない


「どうしてあんな場所へ?」

「・・・・・・・・」


「俺がたまたま間に合っただけで、あのまま自分がどうなっていたか、判らなかった訳じゃないだろ?」

「・・・・・・・・」


「・・・・・俺にさっき言った事が関係あるの?」


「・・・・・・・・・」



「沈黙は肯定・・・か」



つぶやいた蓮の言葉に、京子はブルッ・・・と身を震わせた。


「ああ、寒い?着物が濡れて体温を奪っているんだね。上を脱いで暖炉によって・・・・」

「あの・・・先生も・・・・服が濡れて・・・」


「あ・・・ああ・・・・そうだな・・・」



外の雨はかなり強くなっていた


雨音がガラスに辺り、周囲の気配も音も消してくれて


まるで世界に二人でいる感覚


極度の緊迫した空気


非日常の経験と空間



そして、二人の間に生まれた微妙な空気と共有した秘密




「・・・・・・・・あれが君が望んだ事だったなら・・・・俺が助けたのは余計な事だったかな」


「いえ・・・・ッ!そんなッ!私・・・・ッ!」



意地悪くもつぶやいた言葉に、京子は顔を上げた


京子の瞳に蓮の顔が映る。

ぶつかる視線に、目から涙が溢れた


先ほどの恐怖がやっと追いついてきて、ポロポロと涙が止まらなかった。


泣きじゃくる京子のその姿に、蓮は思わず京子を抱きしめた。

幼子の様に泣く姿なのに、なぜか心の奥がかき乱されていく。


「・・・・・・もう・・・あんな所へ行ってはダメだ」



知りたいのなら・・・・・教えてあげるから・・・

音にはできなかった言葉の裏に潜んだ甘い誘惑に気づいたのか、二人共わからないまま



コクンと頷く京子に、蓮は優しく微笑んだ

その微笑みがとても安心できたから、そのぬくもりがとても心地よかったから




とても自然に



それが当然のように




引き寄せられる様に口付けを交わした




触れたぬくもりが熱になって


ついた欲が激情となって全身を駆け巡り



気がついたら夢中で何度も口付けを交わしながら





二人沈んでいった






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