「踵と床の間に紙一枚入るように立つ」とは、よく聞きますね。

 

しかし、この教えは踵を上げるのではなく、「足裏全体と床の間に紙一枚入るような感覚で立て」という意味だったのではないかなと思っているのです。(特に文献に出会ったわけではないので勝手な推測に過ぎませんが)

 

日本武術では「薄氷を踏む」と言われますが、これがなぜか「踵と床の間に紙一枚入るように立つ」になってしまったように思うのです。(伝言ゲーム)

 

「薄氷を踏む」は現代剣道の現場では、ほとんど聞きません。

 

「薄氷を踏む」立ち方と「踵と床の間に紙一枚入るように立つ」という立ち方では、全く逆になると感じます。

 

「薄氷を踏む」は、体重を足裏全体に分散させる立ち方になりますが、「踵と床の間に紙一枚入るように立つ」は、体重を爪先側に偏らせる立ち方になるからです。

 

体重を爪先側に偏らせる立ち方では、薄氷は割れてしまいます。

 

「薄氷を踏む」は、体重を偏らせないので、前後左右に変幻自在ですが、「踵と床の間に紙一枚」は、体重を爪先に偏らせているので、いわば床に体重を突き刺して体を止めているので「えい!」と筋力を使わないと動けない。

 

「常識」になっていることが、本来の意味と全く違う解釈が定着してしまっていることは非常に多いと思うのですが、これもそうなんじゃないかと感じています。

 

「本当にそうか」という試みもしないといけないのが「稽古」ですが、「常識」から逸れると先生方から叱られてしまうのが現状であることも あれこれ体験しておりますゲッソリ

 

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