『カンガルーケアと完全母乳で赤ちゃんが危ない』ー発達障害は防げるー | クラバートのブログ

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2010~すきまの時間に読んだ大切な本たち(絵本・児童書中心)のなかから選んで、紹介します。小学校の図書室を16年勤務後、現在も読み続けています。

久保田産婦人科麻酔科医院の院長で、麻酔科出身の久保田史郎先生の著書です。SNSで「カンガルーケア」や「完全母乳」について、とある方の問題視されているコメントを読み、その話を告げた友人から本書を紹介されて読みました。

 

*本書は比較的蔵書数の多い図書館にも配架されておらず、そうなるとかえって内容の信憑性は高いと睨んで、即、購入して読みました。

 

本書の帯に「発達障害は防げる」「生まれる病院で発達障害は5倍違った!」と記されています。発達障害を持つ子どもたちが最近増えてきていることに疑問を感じていましたので、その辺りにも注視して読みました。「発達障害は防げる」は、実践から得た考察のようです。

 

*発達障害は生まれつきの特性として、地域の小児科で診断されます。

 

以下ネタバレ

赤ちゃんが生まれてきた時の体温は約38度で、分娩室の気温は約25度。その分娩室で赤ちゃんの体温は急に下がり、体温を上げるために赤ちゃん自身がエネルギーを消費します。そのため、すぐに糖水などの栄養を与えなければ血糖値が低下してしまう恐れがあるそうです。

 

また、寒い中(気温約25度)で過ごすと胃腸の機能も低下して、(ミルクや糖水を与えても)吐き出してしまったり、胎便の排出が遅れて黄疸を招きやすいそうです。

 

さらに、赤ちゃんは、低血糖や飢餓状態(低栄養)が続けば脳に障害を残す危険性があり、発達障害のリスクも高まるというわけです。

 

「カンガルーケア」、「完全母乳」(母乳が出るまでほかの栄養を与えない)は体温低下や低血糖を招く危険があるため、久保田氏の産院では、すべての赤ちゃんを生まれてすぐに温かい保育器に入れ(徐々に室温に適応できるよう気温を下げて慣らし)、1時間以内に糖水を与えて低血糖や飢餓状態にならないように努めているそうです。

 

他に「乳幼児突然死症候群は原因不明ではない」、「激痛を伴うお産に異議」などを唱えられています。また低血糖を招く要因は妊娠中の母親の栄養過多による場合もあるのではないか、さらに帝王切開の術前のブドウ糖点滴にも問題視されています。「完全母乳」を推進したWHO、赤ちゃんの体重減少を防ぐ取り組みなど興味深い内容でした。

 

「この一冊が日本のお産を変える」(帯)もあながち外れていないような気がします。産科に限らず独自の診断ができる信頼できるお医者さん選びが、今なにより私たちの課題ですね。自分で調べる習性も大切です。

 

これから出産される方々にもお薦め★★★★★です。