春は芽ぶきの季節。体の陽気も高まり、心身が活発に活動を始めます。春眠暁を覚えず、とは言いますが、春は不眠が起こりやすい季節でもあります。
中医学の五臓は季節とも関係があり、春は“肝”の季節となります。この“肝”は西洋医学でいう肝臓の機能のほかに、自律神経系の働きを調節する機能、疏泄(そせつ)といわれる気の流通をよくし、情緒を安定させ、胆汁の分泌と排泄を調節する機能も含まれています。私たちの体調も体内の陽気が上昇します。しかし、“肝”に負担がかかっている状態だと、陽気の上昇の影響をうけ、気がうまく巡らなくなることで、様々な異変を起こしやすくなります。
陽気が一気に高まることで、肝陽が上昇し、肝が疲弊すると肝に蔵されている“血(けつ)”が消費され、五臓の心にも影響を与えるようになります。肝陽が過剰になり気が巡らなくなると、イライラや血圧上昇などの症状が現れます。興奮状態が持続するので、寝つきが悪くなります。さらに肝の血が消費され、心を栄養する血が不足することで不安感や不眠といった症状が現れるようになります。また、“陽”が過剰に亢進することで“陰”が不足し、陰虚の状態になると陰の不足から、症状が現れることもあります。不眠、夢ばかり見ていてグッスリ眠れない多夢と呼ばれる状態、そんな症状はありませんか?
中医学では不眠にもタイプがいろいろあって人それぞれ対応する処方が違います。春は肝がキーワード。思い当たる症状がある方は、一度ご相談ください。グッスリ睡眠で身も心もリフレッシュしましょう。