石田三成と柿の逸話から読み取れること | 『日々の健康お役立ち情報とたま~に雑談』 糸島薬局 薬剤師コガのブログ

『日々の健康お役立ち情報とたま~に雑談』 糸島薬局 薬剤師コガのブログ

福岡県糸島市『糸島薬局』のスタッフブログです。
糸島薬局は漢方薬や自然薬・OTC薬の取扱い、調剤を行います。
健康に関することや身体づくりのこと、薬局からのお知らせなどお役立ち情報をお届けします!

こんにちは。
糸島薬局の古賀です。

今回も引き続き柿のお話です。

前回からのまとめとして、
柿は食べ過ぎはよくありませんが、とくに高血圧の方や酒飲みの方、
妊婦さんでいえば妊娠中から出産後まで、適度に柿を食べておくことで、病気に負けない身体づくりが見込める食材と言えます。

しかしながら、どの体質の方も柿は食べ過ぎると良くありません。
(どの食材も基本的には食べ過ぎはあまりよくありませんが・・・。)


栄養価も良く、色々効果が見込める柿ですが、東洋医学的には柿は寒性が強いので胃腸を冷やしやすい食材です。

柿とカニ、柿と生牡蠣(海)などカルシウムの豊富な海鮮と一緒に食べると腹痛や激しい下痢を起こすことがあります。
これはどちらも、冷やす作用があります。

成分的なところをみると、柿に含まれるタンニンのシブオールは胃に結石をつくりやすいという特徴があります。
これはタンニンが酸と鉄分をカルシウムと結合させて沈殿しやすくすることに由来します。胃酸が多い空腹時には食べないようにしましょう。

また、タンニンは多食すると便秘を起こします。
これはタンニンが持つ、タンパク質を変性させて細胞や血管を収縮する収れん作用に由来します。
そうした性質上、タンニンは下痢止めの薬にも使用される成分ですが、腸の粘膜に特殊な膜を作るため、腸への刺激が弱まって、蠕動運動を低下させてしまうために、便秘が起こるのです。

これらの理由から、柿はお腹への影響が大きい食材という事ができます。





石田三成と柿の逸話から読み取れること


このような逸話があります。

かつて、関ヶ原の戦いに敗れ、東軍に捕まった石田三成。
彼が処刑される直前のことです。
三成は
「ノドが渇いた。白湯が飲みたい」
と言いました。すると警護のものは、
「残念ながら、今はない。しかしかわりに、干し柿がある。これを食べてはどうか?」
と柿を差し出しました。
石田三成は、こう答えました。
「干し柿は、痰の毒なのでいらない」

これは三成は逆境の中でも身体をいたわり、その志を失わなかったという逸話です。


三成の処刑日は慶長5年(1600年)11月6日、まさに柿の旬です。
なぜ、石田三成は、痰を癒す「干し柿」を痰の毒と言ったのか。

これはただの三成の勘違い説がありますが、
漫画「へうげもの」では洒落として周りのものを笑わせるためにわざと間違えたという解釈もされています。
若しくは「痰の毒」ではなく「胆の毒」(胆=内臓)とお腹のことを指して言ったのかもしれません。

三成は処刑前の空腹時に柿を拒否し、水ではなく白湯を所望しました。
このことは三成はお腹が弱い体質で、体を「冷やす」事にかなり敏感になっていた、と読み取ることもできますね。


とくに、身体を冷えや便秘が大きな問題になる妊娠中、産後、病後は多食せず少量を毎日摂るようにする、飲酒後に二日酔い予防として摂る、もともと貧血の方や冷え性の方はあまり積極的には摂らず、お腹を冷やさないように注意して摂る、など。

柿は食べ過ぎに気をつけて、こまめに摂るといった工夫をされて下さい。