世界全体の中央銀行と公的機関の金保有量ランキングが更新され

2023年12月末時点のデータが公表されていましたので

2022年12月末時点のデータと比較してみます。

(左)2022年12月末→(右)2023年12月末

順位に変化は全くありません。

 

続いて、 前年比でプラスとなった増加分のランキングを比較してみると

1位トルコ、+147.60トン → 1位中国、+224.88トン

2位中国、+62.21トン → 2位ポーランド、+130.03トン

3位エジプト、+44.69トン → 3位シンガポール、+76.28トン

4位カタール、+35.03トン → 4位ロシア、34.21トン

5位ウズベキスタン、+33.90トン → 5位ヨルダン、+26.14トン

5位イラク、+33.90トン → 6位チェコ、+18.71トン

7位インド、+33.30トン → 7位インド、+16.18トン

8位アラブ首長国連邦、+24.78トン → 8位イラク、+12.25トン

9位エクアドル、+11.85トン → 9位カタール、+9.20トン

10位キルギス、+6.20トン → 10位フィリピン、++7.76トン

中国が1位に上昇、しかも

2022年1位トルコや2023年2位ポーランドに大差をつける爆買い。

2023年12月末時点における各国前年比増加分を2023年実質的購入量とすると

その合計は全世界で568.02トン、このうち中国は39.59%も占めています。

国内経済の低迷が報道されていますが、こんなに金地金を購入する余裕があるとは驚きです。

その意図するところはドルの保有を減らし元に対する信用を高めるためと言われています。

 

しかし、経済的観点から考えると金地金の購入が正しい選択なのか、疑問が生じます。

第一に金地金は利子も配当も生みません・・・資金的に余裕があれば投資に回すべきです

第二に金地金は通貨ではありません・・・金地金で取引決済は容易ではないですし

また、元安に対する為替介入に使えないでしょう。

 

確かに、現時点において金地金の価格は上昇傾向にあるため

参照:地金価格推移2023

将来的に売買差益を期待することはできるかもしれませんが

現在の金地金高騰は各国中央銀行による購入が支えている側面があり

参照:中央銀行の金地金購入が55年ぶりの高水準:本日2本目

前述の通り、そのうちの40%近くが中国の中央銀行によるものです。

中国は国内において不動産バブルを演出し、今、そのバブル破綻で経済が停滞しています。

それに懲りず、中国は世界において金地金バブルを演出していると言えるかもしれません。