HF様から非常に興味深いコメントを頂きました。
NGCでも金属成分分析を実施している・・・とのこと。
確かに、https://www.ngccoin.com/news/article/1591/によると
有料でコインの金属成分分析を実施しているようです。
但し、上の記事を読む限り、古代コインに対してではなく
pattern, essai, trial and mint error coins, as well as tokens and medals
試鋳貨(pattern, essai, trial)と鋳造エラーコイン、そして、トークンとメダル
を対象としています。
おそらく、これらの材質に関する情報が乏しいためでしょう。
例えばメダル、メダルはつらいよ、今のところはでも指摘しているように
コインのデータベース:Numistaのような充実したデータベースがないため
銀製であることは分かっても銀含有率まで分からないことがほとんどです。
本来は金貨であるため:https://en.numista.com/catalogue/pieces23121.html
このプルーフは金貨でないことを明記する必要があったのでしょう。
つまり、NGCによる金属成分分析は真贋鑑定というより
文字通り、材質の金属成分を分析すること自体が目的なのでしょう。
しかし、金属成分分析は真贋鑑定の参考になります。
ゆえに、NGC古代による真贋鑑定でも金属成分分析を行うべきなのです。
古代コインでは材質に関する情報が文書として現存していないことは
NGC古代が指摘している通りですが、だからこそ
NGC古代は様々な古代コインに対して系統的に金属成分分析を実施して
真贋鑑定の参考となるようなデータを蓄積しておくべきだと思うのです。
もちろん、金属成分分析のみで真作と断定はできません。
近代の古代コイン偽造者でもレポートしたように贋作のプロは材質から偽造を始めるからです。
しかし、そこまでしていない古代コインの贋作ならば、金属成分分析で贋作と断定できます。
少なくとも、単にルーペで見るだけで真作と断定するよりはマシですし
参照: 古代コインと禁断の実験
金属成分分析であれ何であれ、古代コイン鑑定のプロである以上
真贋を見極める努力を継続すべきであると思います。
そう、プロは目的を遂げるため努力を惜しんではいけないはずです!
古代コインの真正性を保証しませんなどと開き直るのではなく
現時点で古代コインの真正性を完全に保証することはできていませんが
~のような手段を鑑定に利用していますし、今後も鑑定技術向上のため努力を継続します
とアピールすべきなのです。
そうすれば、NGC古代の鑑定に対する信用は高まるはずですし
信用が高まればNGC鑑定済古代コインの市場価値も高まることになるでしょう。