メダル大出世物語で裸メダルをスラブ入にしたら

落札価格が2.73~9.69倍にもなった例を紹介しました。

しかし、このメダル↓では結果がかなり異なりました。

GERMANY Bavaria AV Medal(3Ducat Size)NGC-PF63 Ultra Cameo

先日のA.W.主催第32回オークションに出品された金製メダルですが
調べてみると、このメダル自身の興味深い履歴が判明したのです。

 
①2022年3月23日Kunker:非スラブ入で950ユーロ(手数料抜)

手数料20%込みで1140ユーロ、1ユーロ130円として

円建手数料抜13万3514円に相当。

その後、スラブ入となって海外で再出品されて

②2023年1月17日Heritage:PF63UCで1320ドル(手数料込)

https://coins.ha.com/itm/german-states/world-coins/german-states-bavaria

1ドル111円として円建手数料抜13万2000円に相当。

スラブ入PF63UCという高鑑定にもかかわらず落札価格は上がるどころか少し下落しました。

③2023年4月16日A.W.主催第32回オークションでは落札価格20万円

①や②と比べて少ししか上がりませんでした、1.5倍程度・・・なぜ?

すぐに思いつくことは短期保有での出品だったからですが、それだけ?

裸メダル→スラブ入PF63UC & 海外→国内

これらは落札価格が2倍以上に高騰するパターンですが・・・

このメダルが製造された歴史的背景を調べてみました。

 

バイエルン王国のマクシミリアン2世時代(1848~1864年)

助産技術で1~3等になると4~2ダカットサイズ(14~6.8g)の金製メダルが

授与され今回の金製メダルは2等に相当・・・これでは歴史的意義が乏しいでしょう。

と言うのも、安全な出産には助産技術の向上より消毒の普及が重要だったからです。

1847年、センメルヴェイス・イグナーツという医師が

産科医の手を消毒することにより産婦の死亡率が劇的に下がることを報告しました。

これでマクシミリアン2世時代に出産が安全に行われるようになったかというと

さにあらず、彼の報告は当時の産科医に受け入れられませんでした。

彼が死亡した1865年よりも後にパスツールの細菌学とリスターの消毒法が普及し

ようやく、産婦の死亡率は改善に向かったのです。

 

ということで、メダルはデザインの見映えが命ですが
歴史的意義もメダルの価値に大きな影響を与えると思います。
 
PS
本文で採用している為替レートは円安の影響を除くため過去5年間の相場から
1ユーロ130円・1ドル111円としていますが
円安の影響を考慮すると
①2022年3月23日1140ユーロ→1ユーロ134円→13万7622円相当
②2023年1月17日1320ドル→1ドル128円→15万2216円相当
③2023年4月16日20万円となるため
①→②で1.11倍、②→③で1.31倍、少しずつ落札価格が上がっていますが
やはり、いずれも微増にすぎません。