7月に入ってからは、趣味で入手したインドのムガール帝国および藩国の銀貨を紹介してきました。

今回は趣味で入手した古代インドの銀貨を紹介します。

*インドの金貨に興味がある方は趣味に徹した世界最小金貨、Fanam金貨古代インド金貨を参照

 

Western Satraps, 234-238, Drachm, 2g (Silver), BMC-India-433, NRI 88

表:Viradaman国王(在位234〜238年)の肖像

裏:川の上に3つの丘、2つの三日月、1つの太陽

参照:https://en.numista.com/catalogue/pieces54612.html

 

Western Satraps, 348-380, Drachm, 2g (Silver), AMF34.4, NRI 83

表:Rudrasena III 国王(在位348〜380年)の肖像

裏:川の上に3つの丘、2つの半月、1つの太陽

参照:https://en.numista.com/catalogue/pieces54842.html

 

Western Satraps:西サトラップ、もしくは、Western Kshatrapas:西クシャトラパとは

35〜405年にインド中西部を支配した王国で

クシャナ朝(古代インド金貨)が任命した地方行政官たちが結集し自立して成立しました。

なお、Satrap/Kshatrapaとはペルシャ系王朝の地方行政官のことで、総督とも訳されます。

 

西クシャトラパそのものが世界史で大きな足跡を残したわけではないため

その国王であるViradamanやRudrasena IIIについても特記することはありません。

ただ、西クシャトラパが発行する銀貨の構図は時代を経ても変わらず特徴的でした。

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Western_Satraps#Coinage

 

次は時代が飛び、古代銀貨と言うよりアンティーク劣銀貨の紹介になります。

 

Paramara Dynasty, 9-14th century, Drachm, 4g (Billon), MNI422, NRI 57

表:Stylised head right(様式化された右向きの頭部), pellets(点々) and ornaments(装飾)

裏:Stylised fire altar(様式化された火の祭壇)and pellets

参照:https://en.numista.com/catalogue/pieces38271.html

*Biilon:銀含有率が極めて低い(数%程度)合金

 

Paramara Dynasty:パラマーラ朝とは

9世紀初頭から14世紀初頭にかけてインド中西部を支配したヒンドゥー教王朝です。

この国も世界史で大きな足跡を残したわけではありません。

しかし、独特なデザインの劣銀貨でしたので入手しました。

 

13世紀初頭からデリー(https://en.wikipedia.org/wiki/File:IN-DL.svg)を中心に

以下の5つのイスラム教王朝が成立しました。

奴隷王朝(1206-1290)→ ハルジー朝(1290-1320)→ トゥグルク朝(1320-1414)

→サイイド朝(1414-1451)→ ローディー朝(1451-1526)

2番目のハルジー朝がパラマーラ朝を滅ぼしました。

そして、最後のローディー朝を滅ぼしたのが

ムガール帝国初代皇帝Babur:バーブル(在位1526〜1530年)でした。

そのローディー朝では次のような劣銀貨を発行していました。

 

Lodi Dynasty, 1508-1514, 1 Tanka, 9g (Billon), G-D705, NRI 78

参照:https://en.numista.com/catalogue/pieces96631.html

 

この劣銀貨にはネオジム磁石が付くため、鉄やニッケル成分が多いと考えられます。

 

パラマーラ朝もローディー朝も小国ですから銀貨を鋳造するだけの国力がなかったのでしょう。