ルーペで見る、更にdeepなコインの世界でハンガリーの金貨を紹介しました。
その際にハンガリーについては解説しませんでしたので
今回はハンガリー、特に、オーストリア・ハンガリー帝国の解説を行い
ハンガリーの金貨もう1枚と銀貨1枚を紹介します。
1804年、神聖ローマ帝国の実質的な解体に伴い
ハプスブルク家が統治していた領土から成立したのがオーストリア帝国です。
多民族から構成されていましたが
ゲルマン民族(オーストリア人)とマジャール民族(ハンガリー人)が主でした。
オーストリア帝国はドイツ連邦の盟主でしたが
1866年、プロイセンとの普墺戦争に敗北し、ドイツ連邦は解体されます。
オーストリア帝国の衰退によりオーストリア人のみによる帝国支配が困難となり
1867年、ハプスブルク家当主を皇帝とし、オーストリア人とハンガリー人が協力する
オーストリア・ハンガリー帝国
が成立しました。つまり、オーストリアとハンガリーの同君連合国家です。
その後、1914年に勃発した第一次世界大戦で敗北したたため
1918年、カール1世皇帝は亡命し、帝国はオーストリアとハンガリーに解体します。
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/spl/eigo/img/column/2017021454/sakasita.01.png
なお、オーストリア帝国からオーストリア・ハンガリー帝国となった波乱時代の皇帝こそ
多くのコインを発行したフランツ・ヨーゼフ1世(在位1848〜1916年)です。
銀貨:謎の再鋳貨、その1・謎の再鋳貨、その2・天下御免の向こう傷
今回紹介する金貨・銀貨はオーストリア・ハンガリー帝国のハンガリーで発行されたものです。
Hungary, 1882, 20 Francs/8 Forint, 6.45g (Au 0.9), KM467, Numista Rarity Index 66
表:フランツ・ヨーゼフ1世 裏:ハンガリーの国章
Hungary, 1907, 5 Korona, 24g (Ag 0.9), KM488, NRI 20
表:フランツ・ヨーゼフ1世 裏:王冠を支える天使
Numistaの記録によると、この銀貨には
前期バージョン(1900・1906年):肖像の頭頂部に凹みなし
後期バージョン(1907〜1909年):肖像の頭頂部に凹みあり
があるそうです。
さらに、再鋳貨もあるそうですが、再鋳貨では全て、肖像の頭頂部に凹みなし、だそうです。
参照:https://en.numista.com/catalogue/images/5aed605932d0f.jpg
今回紹介している銀貨は
1907年で肖像の頭頂部に凹みあり
ですので、オリジナルであることが分かります。