再鋳貨の謎で再鋳貨(restrike、リストライク)の謎について書きました。

今回は、そんな謎を持った再鋳貨の紹介、その2です。

 

裏面下部のローマ数字は年号です。

M→1000, D→500, C→100 x3, L→50, X→10 x3, V→5, I→1 x2:1887

これを見て
Austria, 1887, 2 Florin, Reopening of Kuttenberg Silver Mines, Franz Joseph I
1887年クッテンベルク銀鉱山再開記念銀貨

24.69/22.3g (Ag 0.9), XM7, mintage 400, Numista Rarity Index 100

と思った方、その1の場合と同様、正にコイン・コレクターです。

*通貨単位・重量は記録により異なります。

デザインが素晴らしく、非常に珍しい銀貨の一つ、何しろ製造枚数400枚ですから。

落札価格(手数料抜)を調べてみると
オークション・ワールド:76万円(MS61)

*もう一点、プルーフ(PF62 Cameo)があり125万円

銀座コイン:64万円(少クリーンありAU)

*もう一点、プルーフ(少クリーンありUNC)があり66万円

さて、この銀貨も良く見て気づく事はないでしょうか?

1887年クッテンベルク銀鉱山再開記念銀貨とは少し異なる所が、やはりあります。

 

 

 

正解は・・・↓

 

 

 

 


裏面下部のハンマークロス辺りを拡大すると
R・74・KOLARSKYとあります。

コイン・データベースNumistaの記録↓にはR・74・KOLARSKYに関する記載はありません。

https://en.numista.com/catalogue/pieces163009.html

一方、NGCのデータベースの記録↓によると

https://www.ngccoin.com/price-guide/world/austria-2-florin

Kremnica Mint struck reproductions :クレムニツァ(スロヴァキアの町)造幣局

で再生産とあります。

つまり、今回のコインは1974年のクレムニツァ鋳造所の再鋳貨(Restrike)です。

また、Kolarskyは型を作成した人物のようです。

 

ここまでは何とか分かったのですが、謎の再鋳貨、その1と同様、下記の謎が残ります。

 

1)オーストリアの銀貨がクレムニツァ造幣局で再製造されたのはなぜ?

1887年クッテンベルク銀鉱山再開記念銀貨もクレムニツァ造幣局で製造され

その型が残っていたため、それを元に再製造されたのでしょうか。

 

2)製造枚数は?

調べた限り全く分かりません。

NGCのデータベースの記録にも製造枚数は記載されていませんでした。

国内オークションでは、自分の再鋳貨以外、落札記録を見つける事はできませんでした。

*泰星コイン主催第48回誌上オークションでレプリカがあるものの再鋳貨なのか不明

*泰星コインでは再鋳貨はリストライクと表記される

 

この再鋳貨も、その1と同様、それなりにレアなのかもしれません。

ANTIUM AURUM, Auction 5では

https://www.biddr.ch/auctions/antiumaurum/browse?a=702&l=745039

MS67の落札価格が320ユーロ、手数料15%・1ユーロ120円として4万4160円

Macho & Chlapovič Auction 15では

https://www.numisbids.com/n.php?p=lot&sid=2475&lot=463

未使用の落札価格が300ユーロ、手数料20%・1ユーロ120円として4万3200円でした。

オリジナルには及ばないものの、やはり、それなりの価格です。