再鋳貨とは
過去に鋳造されたコインを
鋳造していた国が
再度鋳造したコインのことです。
英語でrestrikeですので、リストライクとも言います。
オリジナルの鋳型を元に鋳型を作成して再鋳造していると考えられます。
これと、よく似たのがレプリカ(replica、複製品)ですが
レプリカとは
過去に鋳造されたコインを
鋳造していた国とは異なる第三者が非公式に
複製したコインのことです。
レプリカと明示していないレプリカが贋作です。
オリジナルのコインから鋳型を作成して複製していると考えられます。
この再鋳貨には、いくつかの謎があります。
1)そもそも再鋳造するのはなぜ?
確たる理由を知りません。
人気があったコインを再鋳造してコレクターに販売するためでしょうか?
2)しばしば再鋳貨を鋳造する国があるのはなぜ?
オーストリアはMaria Theresiaの銀貨やFranz Joseph Iの金貨を再鋳造しています。
コインの販売は国にとって利益になりますので、財政的な理由でもあるのでしょうか?
3)再鋳貨に記された年号が再鋳造された年号ではないのはなぜ?
例えば、下の再鋳貨では
左上に1780とありますが、再鋳造されたのは
https://en.numista.com/catalogue/pieces7393.html
によるとfrom 1781 to the presentとあります。
なぜ、このようなことをするのでしょうか?
アンティークコインかと思ったら、実はモダンコインだったという誤解を招きます。
以下は謎というより問題点です。
4)再鋳貨に関する情報が乏しい。
1)〜3)の謎も要するに情報が乏しいことが原因です。
例えば、上で提示したMaria Theresiaの再鋳貨も
いつ頃からいつ頃まで何枚再鋳造したか
などの情報をオーストリアは、自分が知る限り、公表していません。
一方、インターネット上で調べてみると下記のような情報を見つけることはできますが。
5)オリジナルコインとの差異が微妙。
上で提示したMaria Theresiaの再鋳貨はプルーフですので、オリジナルの流通貨との違いは一目瞭然です。
しかし、中には
特定の年号が再鋳貨:例 1915年 https://en.numista.com/catalogue/pieces15156.html
再鋳貨のエッジに刻まれた文字の間隔が広い:https://en.numista.com/catalogue/pieces60440.html
など違いが微妙で、予め知識がないとオリジナルと区別がつかず、したがって、再鋳貨と気づかずに購入する危険があります。
通常、再鋳貨はオリジナルよりも価値が低いので、これは大きな問題です。
コインの収集に当たり知識が必要というのは、これまで述べてきたようなグレード(品質)や贋作だけではなく、こうした再鋳貨も存在するからです。
コインが好きな人にとっては”コインの奥の深さ”ですが
コインが好きではない人にはとっては”コインのやっかいさ”にすぎません。
コインが好きな人を増やすためにはコインが抱える問題点
グレード・贋作・再鋳貨など
をわかりやすく解説していくことが大切でしょう。
これこそが、このブログの最重要課題です。
そして、第一ターゲットが”僕の妻”なのです!