キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィル大阪公演に行ってきた。会場はフェスティバルホール、2023年11月19日。
プログラムかと思ったらA5のクリアファイルだった。A5のクリアファイルはよく使うのでありがたいが、簡単なプログラムも欲しかったな。
今回の曲目は、
レーガー作曲モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ
R.シュトラウス作曲「英雄の生涯」
ベルリンフィルが「英雄の生涯」をやると聞いて、これはすごいことになるぞと期待満々で盛り上がっていた。その盛り上がりが失敗の元になるとは。
前半のレーガー。実は、この曲の前半は、ちょっと退屈だった。そんなところで大音響で曲が止まった。何が起こったかと思ったら、チェロの人が倒れている。舞台に関係者と思われる人たちが上がっていたが、最終的には支えられながらも自力で歩いて舞台袖に下がって行ったので大事に至らなかったのだろうと思う。
その続きは、絶品だった。ちょっと荒れ狂う感じもあったけれど、ベルリンフィルの力を認識するには十分だった。倒れた方には申し訳ないけれど、それ以降がレーガーの本領だと思った。
後半はいよいよ「英雄の生涯」。
最初は大変良かった。底から湧き上がる低音、輝く木管金管、胸に響く音圧、たまらんですわ。これぞベルリンフィルって感じ。それ以降も極めて繊細で美しい。指揮者の統率のもと名人芸がいたるところで披露される。
私は、いつまた爆発するか、期待に胸を膨らませて、今か今かと待っていたら、いつの間にか終わってしまった。最後も結構あっさり。え、これで終わり?ベルリンフィルの咆哮は最初だけなの?
いや、美しくて繊細で、これ以上ないR.シュトラウスなんだけど、ベルリンフィルならもっと迫力は出せるよね。でも、これがペトレンコの音楽なのかもしれない。
いずれにしろ、ベルリンフィルの迫力を期待しすぎて繊細な演奏に心を切り替えられなかった自分の責任なんだろう。期待の方向性と演奏の方向性が違っていたゆえの、私にとって不完全燃焼な演奏会だった。ネットでは大絶賛だったけどね。
そういえば、ベルリンでコルンゴルドの交響曲を聴いたとき、1日目と3日目の2回聴いたのだが、3日目の方が圧倒的によかったことを思い出した。後になるほど演奏がよくなるなら、東京ではもっとすごい演奏が聴けるのかもしれない。
できることならもう一回聴きたいと思った演奏会だった。