アムステルダム、パリ旅行記・ポルポラ『ポリフェーモ』編 2023年5月6日 |   kinuzabuの日々・・・

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今回の旅行の演奏会、第二陣は、ポルポラの歌劇『ポリフェーモ』演奏会形式。会場はコンセルトヘボウ、2023年5月6日。

 

 

配役が大変豪華で、アチにフランコ・ファジョーリ、ガラティアにユリア・レジネヴァ、ウリッセにマックス・エマニエル・チェンチッチと、他も実力のある歌手がそろっていた。これを聴きにアムスへ行ったと言っても過言ではない。

物語はよくある『ポリフェーモ』もので、アチとガラティアが結ばれる(ウリッセとカリプソも?)。横恋慕するポリフェーモはアチを殺すが、ポリフェーモはカリプソに一つしかない目をつぶされる。ジョーベにアチを生き返らせるようにお願いし、それがかなう。


座席が前から3列目中央下手側で、前過ぎて音が頭の上を飛んでいかないかとか、コンセルトヘボウの舞台は高いので、頭をずっと上にあげて首が痛くなるのではないかと、あまりいい席じゃないよなと思っていたのが、これがびっくり、目の前でファジョーリとレジネヴァがずっと歌ってくれて、その素晴らしさ、勢いに、頭がくらくらになった。


演奏が始まると、皆さん、装飾音に大変気合を入れていらして、ダカーポアリアの二回目のAだけでなく、Bでも頑張る。2回目のAなんか装飾音というより、新しい楽譜の追加に等しい長さ。全員が全員そうとも限らない(特にチェンチッチ)が、力が漲っていたねえ。こちらも気が遠くなりそうな感覚。すばらしい。

こんなんだから、目の前で歌うファジョーリとレジネヴァには大変強い音圧でこの気合てんこ盛りの歌を存分に楽しめた。

歌手は、アチ役のファジョーリの活躍が目覚ましく、この歌を聴きにアムスまで来て大正解だった。ガラティア役のレジネヴァも美しく正確で、しかも音圧まで最高。この二人はこの公演で格別の美しさだった。

ウリッセ役のチェンチッチも高貴で美しい。カリプソ役のSonija Runjeも力強い声。ポリフェーモ役のSreten Manojlovocは大変迫力があり、ポリフェーモにぴったり。ネリア役のRinnat Mojiahも熱のこもった声で魅了してくれた。

全歌手ともすばらしいパフォーマンスを披露してくれた。

オケのArmina Ateneaは指揮のジョルジュ・ペトル―のもと、歌手に負けないしっかりした管弦楽を奏でてくれた。今回特に感激したのは、テオルボ。いつもはあまり聞こえない音が、指使いの音ともに弦の音をしっかり聴こえて、ああ、こんな音がするんだと、とてもいい経験だった。


それにしても歌手も管弦楽も大変良くて、恐るべき音楽会だった。席も大変良かった。またこのレベルの演奏会を経験するのはもう無理なのかもしれないな、と思えたのがちょっと悲しいかな。フェルメール展があったから行くことのできた演奏会だったけれど、奇跡に乾杯!